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「お帰り久夜。あれ、梁瀬君も一緒?いらっしゃい。」
「ただいまです、八尋さん。」
「え、八尋先輩!?…えっと、あの……お邪魔します。」
「どうぞ。ゆっくりしていって。」
……なんで、八尋先輩と一緒に住んでんの!?
もう羽桜家の構成が分からない。
八尋先輩はリビングにいるらしく、俺は久夜と一緒に2階に上がる。
1階は玄関の先にすぐリビングがあったけど、2階はただひたすら部屋が多い。
久夜はその部屋がいっぱいある中で迷いなく1つの部屋に入った。
「今飲み物持ってくるな。何がいい?基本何でもあるで。」
「えっと……久夜と同じもの。」
「ん。ちょっと待ってて。適当なとこ座っとってくれてええから。」
「うん。」
多分、俺の部屋の3倍はある久夜の広い部屋。
シングル以上はあるだろう大きなベッドと机と本棚。余った空間を埋めるように小さなテーブルも置いてある。
大まかなものがそれしかないから、余計に広く感じる。
大きな窓からは通ってきた庭が見えた。上から見ると、花が色とりどりで綺麗だ。
「…広すぎて落ち着かない。」
とりあえず小さいテーブルの前に座って、物理の教科書を開く。
公式も多いし、なんの文字にどの数字を代入すればいいのかも分からない。
基礎でこのレベル…物理なんて出来る気がしない。
「お待たせ。紅茶で良かった?」
「ありがと。」
「物理、どの辺が分からんの?」
よいしょ、と言ってテーブルの反対側に座った久夜が俺の教科書を覗き込む。
「テスト範囲全部。」
「ははっ、それはアカンなぁ。物理基礎は公式暗記でどうにでもなるから、点数稼ぎどころやで?」
「そんなこと言われても…。」
公式暗記でどうにかなるなら、今こんなに困ることになってない。
久夜はノートを取り出すと、そこに簡単に絵を書いていく。
「こっからこっちに落ちてく力があるやろ?せやけど、こっち側に摩擦力が働くんよ。せやから……」
それから小一時間くらい、久夜による物理講座が行われた。
……俺の物理基礎の力が上がったかは謎だけど。
でも凄く分かりやすかったのは確かだ。
久夜、凄い。
「物理出来そう??」
「んー、どうだろ。でも助かった。ありがと。」
「困った時はお互い様やで。」
何杯目かの紅茶を飲みながら笑った久夜は物理の教科書を閉じた。
俺はと言えば、物理と向き合って疲れ果てた。
やばい。なんだこの疲労感は。
でもその疲労感よりも、俺は久夜の家が今どうゆうことになってるのか気になってしかたがない。
聞いていいものか。聞きづらい。
「せや、梁瀬。今日夜ご飯食べてく??なんやったら作ってもらうけど。」
「い、いや!今日は帰るよ…ご飯は申し訳ないから。」
「ん。なんか、梁瀬が俺ん家いるん変な感じや。」
「八尋先輩と、いつから一緒に暮らしてるの?」
…よく聞いた、俺。
部活に入る前、久夜は八尋先輩に会うのは3回目くらいって言ってた。
でもその頃から久夜の降りる駅は変わってない。
……どうゆうことなんだろう。
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