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「行ってきまーす!!」
「気を付けるのよ~」
「はいよー」
季節は巡る。
夏を終え、秋を迎え、冬を越えて、春になった。
1か月前に中学を卒業して、高校生になった。
慣れないブレザー、ネクタイ。
……学ランの方が楽だったな、なんて。
桜の咲いてない桜並木を通って、電車に乗って10駅分。
駅から徒歩10分の場所にあるのが、これから通う高藤高校。
グラウンドが広くて、体育館も2つある。
偏差値60くらいの普通に賢い学校。
スポーツはバスケが盛ん。
野球はそうでもなくて、サッカーはそれなりに強い。
私立だからか、校舎は綺麗で、敷地も広い。
陸上をやらない俺の、新生活の場所。
入学式の前に、受付をして、分厚い封筒を受けとる。
その中にクラスが書かれてて、4組だった俺は教室に向かった。
席は廊下側二列目、前から二番目、前の方の席。
前も後ろも、両隣はまぁ当たり前だけど男子で。
「…はぁ。」
ちょっと緊張する。これから入学式なのに。
友達、出来るといいな。
中学の奴、全然いないし。
まぁ男子校なんて、選ぶやつの方が少ねーよな。
「おはよう!」
「あ、あぁ…おはよう…」
「お前、近くで見るとほんまイケメンやな!!」
「……はっ?」
いきりなり、目の前に現れた、チャラい茶髪。
大きい瞳に二重の瞼。薄い唇に高い鼻。
日焼けをしたことがなさそうな、白い肌。
俺にイケメンとか言ってきたけど、お前こそイケメンだろう、と心の中で突っ込んだ。
にかっと笑ったそいつ。
「俺、羽桜久夜(ひさや)。よろしくな!!」
ちょっと高い声で自己紹介した羽桜は中々に面白そうな奴だと思った。
「廣川梁瀬(やなせ)だ。よろしく」
とりあえず自分の名前を名乗る。
友達の心配はこれでなくなりそうだ。
「廣川、梁瀬…どっちが苗字か分からん名前やなぁ。」
「よく言われる。」
「梁瀬って呼んでもええ?」
「いいよ。俺も久夜でいい?」
「ええよ!!大歓迎!いやぁ、一番前やったから結構絶望的やったけど、後ろが梁瀬で良かったわ~!」
ゆるい関西弁の久夜はそう言って抱きついてきて、なんとなくそうゆうのに不馴れな俺はぎょっとした。
東京じゃこれが普通のコミュニケーションなのか…
なるほど。
心の中でメモをとって、久夜の方を見る。
高校生活はなんだかんだ楽しくなりそうだ。
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