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10珠蘭屋
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「こいつ、今日からうちで預かる」
「え、これまたなんで」
俺を指さす伊助さんを、若虎と呼ばれた青年が交互に俺を見る。
「家出したんだってさ。身よりもないらしくて」
「へぇ……。お前名前は?」
動かしていた視線を俺に止め、真っ直ぐにこちらを見てくる。
「……吉乃楓……です」
その視線に少し戸惑いながらも小さな声で呟く。
「楓。俺は菊林若虎。珠蘭屋の裏方をしてる」
若虎さんは、どん、と拳で自分の胸を叩いた。
「……しゅ……ら?……や……??」
珠蘭屋って何だろう……。
「えっ、お前ここ知らねぇの!?」
若虎さんは心底驚いたように目を見開く。
行動のひとつひとつが感情を表していて、とてもわかりやすい人だ。
「お前田舎の出か?服装も変だし……」
今度は目を細めて俺を上から下までじろりと見る。
そりゃ……制服は変か……。
「は、はい……。結構遠い────ぼ、貿易場の近くで!」
俺にしてはいい言い訳だ。
この時代なら海辺や貿易場の近くに住んでいたということにすれば、物資がよく入るという事で、なんとか誤魔化せるだろう!
「へぇ、そうなの」
今度は卯月さんが驚いたような声を出す。
ふ、不自然じゃないよな……?
「遠い田舎なら知らなくてもしょうがないか。」
伊助さんもふっと笑う。
「あ、あの……ここはどういう……」
「ここは『珠蘭屋』吉原一の遊郭さ!!!」
自慢げに話す若虎さんは、ここで働いていることは凄いのだ!!と言わんばかりに『吉原一』と強調させた。
ん……?
遊郭…………??
遊郭って確か────
『花魁』が、男性に春を売る場所なのでは………
「ん?」
「どうした?」
「楓?」
そう分かってしまうと、額に汗が浮かぶ。
身体が熱くなり、目まぐるしく『遊郭』についての情報が頭の中で構成される。
だ、だって……『そういうこと』をする場所なんだよな……?
17歳=彼女いない歴のチェリーボーイには少々刺激が────。
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