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30身長とからかい
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床に下ろしてもらうと、上からとれた綿埃がちょっと広がった。
「邦之ありがと。あとは大丈夫!!」
「肩」
「え?」
邦之は不意に俺の右肩を指さした。
そのまま顔を横に向けると……
「ぎゃーーーーー!!!!!!!!!」
「っ、」
なんと真横には、小指の爪程の蜘蛛が天井から垂れていた。
「邦之っ、あれどうにかしろっ!!」
蜘蛛から逃げるように、目の前の布に縋った。
「はい。もういない」
「ほんと?」
「糸断ち切ったから」
「床にもいない?」
「外の方に行った」
「よかった〜」
俺はホッと一息つく。なんせ、俺は虫が大嫌い。蜘蛛なんて特にね!!
あの蜘蛛の奇妙な柄と色……。そして、そんなに足がいるのか!と聞きたくなる八本の足。
全てが気持ち悪い……
「楓、いい加減はなしてくんない?」
「え?はなすってなにを……あっ、」
目の前には灰色の着物を纏った邦之が……。
俺はどうやら蜘蛛が出た瞬間邦之に飛びついたらしい。
「ごめん」
「ほんと」
「うっ……」
慌てて手をはなすと、邦之は少し乱れた着物を正した。
ていうか、ほんとに一言余計…………
「じゃあ、俺戻るから」
「あっ、うん。ありがとう」
背中を向けた邦之に慌ててお礼を言った。
邦之は、それには答えず、廊下の奥へ姿を消した。
「よし、時間かかっちゃったし、一気にやるぞ!!」
気合い注入!!
箒を手に取り、はいていく。
掃除は大得意だ。…高いところを除いてな……。
でも明日からはどうしようか。
また邦之に手伝ってもらう?それはなんか申し訳ない……。
そんなことを考えながら俺は水拭きの用意した。
*°・,*°・,*°・,*°・,*°・,*°・,*°・,*°・,*°・,*°・
「……何なんだよアイツ……」
邦之は箒を動かしながら少し不機嫌になっていた。
今日の昼飯を考えないといけないのに、浮かんでくるのは楓の事────。
「なんであんなに俺に懐いてんのかわかんねー」
ブツブツ言いながら、さっきまでの出来事を思い出す。
「ていうか……軽すぎだろアイツ。」
さっき抱っこをした時、本当に驚いた。
身長が身長だから……?
「ぷっ……」
そう考えると、本当に小さくて笑ってしまう。
なんだろ……なんかに似てる……。
……似てるというより……あれか……
「小動物をまとめた感じ……?」
とても頷ける結論がでた。
あれが小動物なら、幾分可愛く見える気がした
そんな思いを抱けば、ちょっと、興味が湧いてきた。
からかうのは面白そうだし。
さっきまでの不機嫌はもう上機嫌になっていた。
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