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バカップルの会話を盗み聞きしよう!
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語り:陸上部三年 田沼健太
「緒方と秋月が部室でイチャついてる!!」
夏休み明けの放課後。
井上がそう叫びながら部室棟の階段を駆け下りて来た。
授業を乗り越えた部活前、緒方を除いた三年生で部室へ向かっている時の事だった。
女子の間で難攻不落として有名な秋月を、まさかのド天然、しかも男の緒方が落としてから、まだ二週間と経っていない。
付き合いたてほやほや。
楽しくて仕方のない頃だろう。
全く以て羨ましい。
「部室入ろうとしたら二人の声が!」
井上は目を輝かせている。
「すごく興味がある」
渡辺が真顔で頷いた。
「やっぱり渡辺キャラ迷子!」
頼れる真面目な優等生キャラだったはずの渡辺部長の言葉に、そう言わずにはいられない。
「あのバカップルの会話、多分相当変だぞ…本当にイチャついてんのか?」
山梨がため息をついた。
「でも確かに普段そんな雰囲気出さないし、二人だとどんな会話してるか気になるよね」
瀬川は爽やかに笑った。
五人揃って部室の前で聞き耳を立てる。
『えっ?!ここでやんの?!』
緒方の声が聞こえる。
『今誰もいないですし、ちょうどいいじゃないですか。人に見られたら嫌ですし』
この声は秋月だ。
「人に見られたらイヤだと?!男子高校生が密室に二人きり!エロい事しか想像できん!」
「井上うるさい!」
いつもの様に喚く井上の肩を叩く。
『誰か来る前にさっさと始めましょう』
「秋月マジで…?」
普段の秋月からは想像出来ない積極性だ。
『秋月痛い!そこじゃない!』
緒方が大声を上げた。
「まさかあの秋月が攻めなのか?!」
渡辺が目を丸くした。
『緒方さんなら大丈夫です。口開けてください』
「マジか?!口に何を入れるんだ?!やはりエロい事しか想像できん!踏み込むか?!」
「井上待て!まだ早い!」
あまりのワクワク感に思わず制止する。
『秋月っ!グイグイやりすぎ!無理やりやっても入らねぇって!』
「え、秋月ってそういう感じなの…?てかまだ付き合ってそんなに経ってないよね?展開早くない…?」
緒方の叫びに瀬川は口元をヒクヒクとさせている。
『俺だって初めてなんですから』
「初体験をこんな場所で?!」
ワクワクが止まらない。
『やっぱムリ。交代。次秋月やってみて』
『……え、なんでですか。そもそも俺は嫌だったんです。緒方さんが言い出したんじゃないですか。次は上手くやってみせるので』
「緒方誘い受けなの…?あの緒方が受けで、あの秋月が攻め…?」
瀬川の顔から笑みが消えた。
「秋月男らしい!俺も抱いて!」
井上は自分を抱き締めている。
「あいつらマジかよ…」
さすがの山梨も眉間にシワを寄せた。
『痛っ…ちょっと緒方さん!いきなりなに…やめてください!』
『交代!次秋月が前!』
「どんなプレイかクソ気になる!」
ワクワクがとめどない。
『違っ…緒方さんもっと右です』
『ん?ここ?』
『もう少し左…あ、そこいい感じです』
『入った?』
『はい。完璧です』
「おい…マジかよ…」
思わずゴクリと喉が鳴る。
「いや、会話は色っぽいけど秋月の声色が色っぽくねぇな」
山梨が冷静にそう言った。
『上手くいくと気持ちいいな!』
『まぁそうですね…』
「ほら!気持ちいいっつってんぞ!」
「田沼、落ち着け」
『秋月、口の周りに白いの付いてる。拭くからこっち向いて』
『あ、すみません』
『秋月可愛い』
『俺男です』
「おいぃぃぃ?!なに?!なにが付いてんの?!リア充滅びろ!!」
「田沼、落ち着け」
『あっついなー。そろそろ脱ぐか』
「あいつらまだヤる気か?!」
「むしろこっから本番なの?!」
「ここは部長の俺が!」
「渡辺かっこいい!」
バタンとドアが開け放たれた。
床に座り込んだ二人がキレのある揃った動きで、勢い良くでこちらを向く。
緒方が後ろから秋月に抱き着いていた。
「お前ら!部室でなにやってんだ!」
渡辺部長の喝が飛ぶ。
「「……二人羽織です」」
バカップルが見事にシンクロした。
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