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治療が終わって、ぐったりしてしまった鈴が、物問いたげな目で見る。
「…合鍵。持って帰っただろ。
返せ。」
「あ…。」
…やっぱりこいつだったか。
鈴が何か言いかけて、―― その時、ドアが開く。
華奢な、細面の人物がそこに立ってた。
「…兄さん!兄さん、おかえりなさい!」
ぱっと、笑顔になって、膝掛けが外れるのも気にせず、鈴が重い身体を起こす。
― なるほど…。
こいつが噂の鈴の兄、か…。
裸の鈴を、軽蔑したように一瞥すると、俺を指して、
「…誰なんだ、鈴?」
と、問う。
俺が何か言うより速く、
「…近所の人…。
何か音したから、見に来てくれた。僕が気を失ってたから、介抱してくれた…。」
と鈴が言った。
…おいおい、近所に住んだ覚えがないぞ?
それに…兄相手だとおまえ、よく喋るんだな…。
訂正しようかと思ったが…、鈴がどういう気で言ったのか、気になり黙って様子を見る。
「…もう…大丈夫だから…。」
鈴が俺に向かって言う。
― 帰って…と、鈴の目が言ってる…。
…お願いだから、帰ってと…。
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