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わからなかった感情の名前は
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けっきょく、俺と葵は部活が終わるまでバスケをしていた
家に帰ると母さんの弟家族が遊びに来ていた
俺が風呂に入ってる間にあいは葵にたぶん最近のこととかを聞いたらしく、俺に「大丈夫?」と聞いてきた
俺が葵のこと好きっていうことをあいは前から気づいていた
気づいていて応援してくれていた
だから、心配してくれたんだろう
次の日にはあいたち家族は帰ってしまった
葵は絋と出かけるらしく早くから家を出ていた
俺は特に予定もなくダラダラと過ごしていた
「さくちゃーん、ちょっと買い物行ってきてくれなーい?」
「…はーい」
重い体を起こして、リビングに移動した
「なに買ってきたらい?」
「今日はお鍋するから、鶏肉とにんじんと…白菜くらいかしらね」
「あといらない?」
「そうね、あとは家にあるから大丈夫よ。よろしくね」
「ほーい」
母さんは、なんと言うかほわほわしている
しっかりはしているがたまに忘れ物が多いな
ニコニコしながら「いってらっしゃ〜い」と言われ、「いってきます」と返して俺は家を出た
俺は近くのスーパーに行き、さっさと買い物を済ませた
帰ってる途中、スマホが鳴りメッセージがきた
…畝那からだった
『昨日はいきなり、好きなんて言ってすみませんでした。驚きましたよね。
けど、あれ本当は嘘です。先輩があまりにも元気がなかったので好きって言ったら元気出してもらえるかなと思って言ってみたんですけど…余計悩ましてしまいましたよね。本当にすみません。
先輩が兄ちゃんのこと好きなのは結構前から気づいてました。
俺、他に好きな人いるんで先輩が悩んでる気持ちわかります。
兄ちゃん、今日病院に行って検査したらインフルだったらしくて今も寝込んでます。
よかったらお見舞い来てあげてください。』
嘘、だったのかよ……
ちょっとホッとしてしまった…
昨日、畝那の表情けっこう真剣だったからてっきり本気と思ってた……けど、畝那も心配してくれてたんだから責めたりはできないな
…てか、陽樹インフルって……俺の風邪うつったんじゃなかったのか…?
……お見舞い、か………
「……よしっ」
俺は急いで家に戻り、陽樹の家に向かった
インターホンを押すと、陽樹のお母さんが出てきた
「あら、朔斗くんお久しぶり〜! どうぞ上がって〜」
「ご無沙汰してます。おじゃまします」
おばさんは笑顔で迎え入れてくれた
「もしかして、わざわざお見舞いに来てくれたの?」
「はい、一応ゼリーとか買ってきたんですけど…」
「ありがと〜! 部屋にいるから持っていってあげて〜」
「はい」
俺は陽樹の部屋に向かった
ドアの前に立ち、一呼吸置いてから二回ドアをノックする
小さい声だったけど、「はい」と返事があった
俺はそーっとドアを開けて入った
「……母さん?」
「…ちがう」
「………ッ、さく、と…」
俺の声を聞いた瞬間、飛び起きて俺を見るなり目を見開いていた
俺は床に座ってベッドに寄りかかった
すると、ノックがありおばさんがお茶を持ってきてくれた
「朔斗くん、ゆっくりしていってね!」とさり際に言って部屋を出て行った
「……………」
「……………」
お互い、無言だった
先に沈黙を破ったのは俺だった
「…ゼリー買ってきた」
「……ありがと」
俺は顔を見ずにゼリーを渡した
「……朔斗」
「…なに」
「こっち、向いて」
「………なんでだよ」
「顔みたいから」
俺は座ったまま、体を陽樹の方へ向けた
「……こっち来て」
催眠にでもかかってるかのように、俺はゆっくり立ち上がってベッドに座った
「そこじゃない…こっち」
チラッと見ると、陽樹はあぐらをかいている上を指していた
俺は恐る恐る陽樹に近づいた
けど、最後は陽樹から腕を引かれ陽樹に抱きつく形になってしまった
「……嫌じゃないの?」
「………ん…」
「…そっか……風邪治った?」
「ん…」
そんなの風邪引いたその日に治ったし…
「朔斗」
「…なに」
「こっち向いて?」
「……………」
俺はゆっくり上を向いた
久しぶりに見る陽樹の顔は熱で少しは火照っていた
目も少し潤んでいた
一言で言うと、色っぽい……
「ねぇ、朔斗…」
「…ん」
「俺、朔斗の気持ち…まだ聞いてない」
「…………」
「朔斗は俺のこと嫌い?……それとも…」
………好き…
心臓がうるさいくらいに鳴る
たった2文字なのに…それがなかなか声にならない…
「……俺は、朔斗のこと好きだよ」
「…ッ……」
「…好きだよ」
しっかり目を見て、陽樹は言う
「…ほ……ほんと、に…?」
声が震える
……情けないな…
「ん、ほんと」
優しく、微笑みかけてくれる
今まで苦しかったものがスーッとなくなっていくような感覚がした
「…お、俺も……好き…っ…」
「やっと聞けた」
お互いどちらからともなく抱きしめ合った
なんだか、昨日まで悩んでいた答えがわかったような気がする
俺は葵のこと恋愛感情で“好き”だった
それは事実
けど、陽樹への好きって気持ちが生まれてからは、自分に1番近い存在、大切な“弟”が取られてしまうっていう嫉妬の感情だった
だから、絋とキスしてるのを見て胸が苦しかった
「陽樹…」
「ん?」
「…キス、したい」
「……インフルうつるからだめ」
「いいよ、別に」
「だめ」
「………んっ」
「…ッ……」
俺は陽樹の首に腕を回し、自分からキスをした
陽樹も最初は俺を離そうとしていたけど、全然力が入ってなくて諦めたみたいだった
そのうち、陽樹から舌を絡めてきた
「…ッ、んはぁ……ぁ…んぅ、んっ…」
「ん、はぁ…」
「は、ぁっ……はる、き…」
「…はぁ、はぁ……朔斗のせいだからね」
いつの間に俺はベッドに横たわって、上には陽樹の顔があった
「…ん、いいよ」
俺は陽樹の首に腕を回した
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