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12話目
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それから家へと戻り、少し頭を冷やす意味も合わせて、シャワーを浴びた。
ラブホで自分の想いを告げ、受け入れてもらった後、つまり恋人になった訳だが、俺が思った以上に、俺は一昨日の夜のファオロの行動で悩んでいたらしかった。恋人になったおかげで、それが吹き飛び、安心したらしく、途端に眠気が襲ってきた為、ファオロを抱き締めたまま、ベッドへ倒れ込んだ。
彼は腕の中で「え、え!?」と少し混乱した様子だったが、俺の表情を読み取ったらしく、「もう寝ようか?」と笑って言ってくれた。
男同士のヤリ方はイマイチ分からないと言うだけで、知識はなんとなくある。・・・まぁ、客でそういう人が居ない訳じゃないしな、と小さく苦笑を零しては、昨日の自分に、何とも情けない、というのが俺の本音である。
そんなことを反省しつつ、ぬるいシャワーを浴びる。床に打ち付けるぬるま湯を見つめながら、更に強いものへする為、蛇口を開いた。
床に強く打ち付けられる音で、情けない自分への溜息と、昨日のチャンスを逃したことを残念だ、という意味を含んだ溜息を打ち消した。
――― Side:ファオロ
「また後で。」と去って行ったレイイチの後姿を見つめながら、はぁ、と大きく息を吐き、その場にしゃがみ込んだ。
レイイチに触れられたところがすごい熱を持っている。手を回された腰、口付けを落とされた額、それからなぞる様に触れられた耳が・・・特に熱い。
・・・なんとなく分かってはいたけれど、レイイチは俗にいうタラシというやつだな、と内心思いながら、未だに熱を持った頬を押さえ、傍に居るであろうヒサヤマの事を思い出して立ち上がった。
そのまま、彼へと視線をやり、声を掛けようと口開きかけたが、彼はじっとレイイチの後姿を真剣・・・というより、無表情で見つめていた。
「・・・ヒサヤマ?」
「・・・え?嗚呼、もう大丈夫っすか?」
声を掛けると、ヒサヤマはいつも通りの笑顔をこちらに向けた。先程の視線に、・・・なんだか、漠然とした不安に襲われた。
ヒサヤマは、日本の大学に留学していた際の後輩だ。俺の入っていたサークルは飲み会サークルと言っていいほど、飲み会しかしていなかったサークルで、様々な人と話すのにちょうど良かった。その中でもよく話す様になり、懐いたのがヒサヤマだった。
会う度に元気よく挨拶をするヒサヤマが、同じバイだったという共通点から、気を遣うこともなかった。そんな彼が一番気の許せる友人になるまで時間はかからなかった。
ヒサヤマとは三年間だけではあったが、一緒にいた。彼は常にニコニコとした笑みを浮かべ、人当たりの良い性格だった。
そんな彼の、先ほどの無表情が俺の不安感を更に強め、ただなんとなく、嫌だという気持ちが心を埋め尽くした。
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