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*横暴な約束
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矢代のどこへも向けようがない感情は、告白にも似た自白に混ぜられて、俺は爪先を器用に動かしながらそれを黙って聞いていた。
矢代が息を荒くさせて、マットに爪を立てる。もう限界のようで、快感に耐えながら声を震わせて俺に解放を求めてきた。
「も、もう、無理…っ ぜんぶいった…!! いったから…っ!!」
「…イッたの?」
「ち、違ぇよ! いってない…!」
「ふぅん…? じゃあ言って」
「…っ!! そうじゃな…っ! んっ…あ、い、く…い、ちゃう、からやめ…っ ぁ、あ、いく…っ いく…!!」
矢代が電流を流されたように大きく跳ねた。体をマットに沈ませて、普段からは想像できない女の子のような声を漏らしながら不規則に体をビクつかせる。相当良かったのか、しばらく全身をぐったりとさせて小さく痙攣していた。
不思議なことに、こんなに心身を乱れさせている人間を前にして、俺はとても冷静だった。
この状況といい、相手の反応といい、いくら男相手といっても多少は興奮する環境であるのに、俺は心も体も全て、無反応だった。
嫌いな相手だと
本当に何も感じないんだーーー。
蹴り飛ばすようにして、とどめにローファーの爪先でねじ込むように踏みにじった。一度イッたせいか、ひときわ大きく反応した。面白くもなんともなかったが、俺は笑って言う。
「踏まれていくとか、情けな。…あぁ、お前は乱暴にされるほうが感じる変態だったっけ」
右足を離し、矢代の意識が朦朧としている間に、相手のズボンに手をかける。抵抗する隙を与えずに、一気にファスナーを下ろした。矢代の白濁液にまみれたそこへ、スマホのレンズを向ける。
すっかり暗くなった準備室内にシャッター音が響いた。
眩いフラッシュに照らされた矢代の顔は、酷く驚いていた。
「…え…?」
「…写真、3年前のお前がしたように、撮ったんだよ」
「えっ うそ、何するつもり…」
「お前が一番わかってんだろうが…!」
繋がれた矢代ごと、手に掴んだ縄跳びを荒々しく引き寄せた。強引に体を起こされた矢代は、俺の態度に怯えているようだった。
その顔面に、以前されたように、スマホの画面を無理矢理見せつける。
「今日のこと、口外したり、変なマネしたらこれ容赦無くバラまくから。…冗談で言ってるんじゃないからね。あの時のお前と同じように、俺が気に入らないと思ったらすぐにネットに流してやる」
「う…っ」
矢代の瞳の水気が増した。準備室の小窓の外から差し込む蛍光灯の光が、涙の上を揺らぐ。
「怖くなった…? まあ、そんなことされたら、死にたくて死にたくて仕方なくなるだろうな? でも、それをお前はしたんだよ。 何の罪もない、俺を助けてくれた、鈴谷に」
「…っわ、悪かったって…っ」
「そう思うんなら体張って償えよ。 鈴谷と同じ気持ちを味わえよ」
相手の体に重いコンクリートの板を枚数を増やして乗せていくように、今までの出来事から生まれた憎悪を相手の全身に重ねていく。
「お前が苦しむなら、何をするにも厭わない。俺がお前の気持ちを踏みにじって、鈴谷と同じぐらい…それ以上に、惨めな思いをさせてやる。どんなにお前が傷ついたって、またその傷口の上から痛みつけてやる。いくら痛がろうが、泣いて謝罪されようが、絶対にやめてやらない。 絶対に許してやらない」
突き刺すように言葉を吐きかけ、矢代を突き放す。 荒く解いた縄跳びを投げ捨て、俺は淡々と帰り支度をした。
準備室の鍵を開きドアノブに手を乗せて、俺は一旦足を止めた。振り向かぬまま、矢代に言葉を投げる。
「…矢代、ずっと俺のことが好きだったんだって?」
返答はない。
言葉を詰まらせている矢代へと、視線と言葉を、伏し目がちに鋭く向けた。
「俺はお前のことずっと前から大っ嫌いだから」
矢代と俺の空間を、扉が重々しく荒い音を立てて隔てた。
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