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5 (彰)
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雪の隣にいたのは、俺「だった」。
知らずのうちに、過去形。
「っ、やっぱり2人には何かあるんですよね、」
ギリ、と唇を噛み締めて俺を睨む如月蘭に、
「教えないけどな。」、そう言い返したらもっと睨まれた。
「いいです、別に。
僕は真実を知りたいわけじゃない。
雪から聞きたい。それだけだ。」
「…は、シンユウってのも大変だな。」
「…。」
如月蘭は俺の手から書類を奪い取り、
無言で自分の席へと戻って行った。
「…雪、副会長と仕事してますよ。」
「……何が言いたい?」
「貴方の思惑通りにはいかない。」
「…。」
「自分の思い通りに人が動くなんて考えない方がいいですよ。」
"思い通り"
そうなったとしたら、どんなに幸せだろうな。
思い通りにいったことなんて、一度もない。
一度だって、ないんだ。
だけどそんなことは、部外者の如月蘭に言ってみたところで変わらない。
理解し納得するとも思えない。
実は彼も、俺と同類、なのかもしれない。
「結局、雪しか見えてないのか、」
"思い通り"、
もしもそうなら、雪は俺だけのものだ。
あの瞳には、俺以外を映さないはずなんだ。
===彰side 終===
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