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その言葉を聞いた瞬間、僕はなんだか嫌な予感がした。
「それで……あのね。これっ! 瀬戸君に渡して欲しいの!!」
その言葉と共に、その子は僕の胸辺りに、手紙を突き出してきた。
やっぱり……僕の予感が的中してしまった。
どうしよう……瀬戸君を相手にまともに喋り掛けられない僕が、こんなの受け取ってしまったら、一生渡せないままだよ。
「こ、困るよ……僕……」
僕なりには、ハッキリ断ったつもり、だったんだけど……。
「お願い!! 自分じゃ、とても渡す勇気が無いの」
と、また頼み込まれてしまう。
僕だって渡す所か、話し掛ける勇気すら無いのに……。
「あの……そんな事言われても……」
「本当にお願い!! これ、渡してくれたら、何でもするわ」
「でも……」
突き出された手紙を返そうと顔を上げた時、偶然にもその子と目が合ってしまった。
彼女の真剣な顔を見てしまった僕は、どういう訳か、
「……分かった」
と、返事をしてしまった。
「えっ? ホントに? やっぱり戸波君って優しいんだね! 有難う。また、お礼するね」
凄く嬉しそうな顔をして、女の子は帰ってしまった。
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