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だから、今度は瀬戸君に頼らないで、ちゃんと自分で言おうと思って、頑張って答えた。
「へぇ~。そっか」
僕のその答えに、葎っちゃんから納得した声は聞こえた。
けど、今度はさっきと逆で……瀬戸君の声が、聞こえなくなってしまった。
さっき、僕の頭を撫でてくれてた手も、いつの間にか離れてしまってるし……。
一体、どうしたんだろう? と思って、僕が顔を上げようとしたその時、
「あ! もうこんな時間じゃん。優、急ぐぞ!」
「え……?」
時計を見て時間を確認した葎っちゃんが、慌てた様子で僕の腕を引っ張って、靴箱へと向かう。
その勢いに負けて、僕は顔を上げるのをやめて、葎っちゃんに引っ張られながら、コケない様に前を見て足を動かす。
こうして今朝は、慌てて登校する事になってしまった。
結局僕は、あの時……瀬戸君がどんな表情を浮かべてたのか、見る事は出来なかったんだ。
******
「すいません。戸波優君は居ますか?」
三時間目が終わるチャイムが鳴って、休み時間になってから暫くすると、女の子特有の高くて可愛い声が、僕の教室に響いた。
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