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部長に臨時のコーチが来ると聞いてから2週間が経った。前半のゴールデンウィークが終わり今日から2日間学校に行って後半のゴールデンウィークが始まる。
予定としては後半のゴールデンウィーク初日から来てくれるらしい。
「薺、終わりそうか?」
「んーちょっと無理かも。先に行ってて」
「たくっ、日誌持ってること忘れてたクセに部活を理由にして薺に押し付けるなんて…」
「俺もすっかり忘れてたからおあいこ」
「…お前を1人にして大丈夫か?」
「大丈夫大丈夫。終わって職員室寄ったらちゃんと部活に行くから心配しないで」
「…そういう心配じゃねぇんだけどな」
うん、知ってるよ。何に対して心配してくれてるのかも…。
でもさ、俺なんかの心配はしなくても大丈夫。だって俺は"天使の仮面を被った悪魔"だからね。心配して貰う価値なんてないんだよ。
「遅れるって部長に言っといて」
「…分かったよ。ちゃんと来るんだぞ」
「うん、ありがとう」
何も言わないでくれてありがとう。
心配してくれてありがとう。
その好意を無下にしてごめんなさい。
色々な意味を含めて"ありがとう"と言った。きっとそれだけで咲夜はその真意を分かってくれるだろう。
だって、ほら…。
「じゃあ後でな」
俺の頭を撫でてそれだけ言うと教室から出て行ったから。何も言わないのは咲夜の優しさ…それを分かった上で甘えてしまう。
数年前まではそうでもなかったのにな…いや、"アレ"は起こるべくして起きたことだ。今更言ったって仕方がない。
取り敢えず、今はやることをさっさと終わらせて部活に行かなきゃ。ゴールデンウィークが明けたら春の大会が待ってるんだから。
そして、再び日誌に目を向けて書き出した…。
一から書いた日誌を書き上げたのはそれから15分経った頃で。その時には既に教室には誰もいなくなっていた。
俺は書き上げた日誌と鞄を持って教室を後にする。1階にある職員室に向かう途中、窓の外からウチの部活の姿が見えた。そこには咲夜も居るわけで…。
その咲夜は部活の仲間と楽しそうに笑いながら話していた。 と思ったら、副部長に叱られて練習に入っていく。
俺がいなくても咲夜の周りにはたくさんの友達がいる。ああやってバカやって騒いだりするし、身長が180㎝もあってルックスだって悪くないから女子にもモテる。
偶に思うんだ。俺が彼の側にいないほうがいいんじゃないかって。いい加減、俺みたいな面倒くさい奴から解放してあげなきゃダメだよな…って。
でも、それを直接咲夜に言うことはない。言ってしまうことで咲夜を傷付けると分かっているから。
離れなきゃいけない…でも、傷付けたくない。
矛盾の考えが俺を支配する。
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