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紫波さんに会ってから2日後、漸くバイトの日がやってきた。
いつも通り部活を終えて咲夜を残して急いで家に帰る。制服から私服に着替えてから既に帰宅していた兄さんに、夜ご飯はいらないと伝えた。
そのことに一瞬寂しそうに目を伏せたが、「分かったよ。いってらっしゃい」と言ってくれた。
バイトだとバレてると分かっているし、その表情にも気付いているが、俺は何も言わない。
「いってきます」とだけ言って、玄関を開けて外の世界へと飛び込んだ。
バイト先【eryngo】に着いてドアを開ける。そこには、店長であるミキさんの他に2人が既にいた。
「こんにちは、今日は2人共早いですね」
「あ、なーちゃん!おはよう!」
「挨拶がおかしいだろ。なーも困ってるぞ」
「いやいや、別にいいですよ。今日はハクちゃんとウメさんの4人ですか?」
「ナナちゃんはこのメンバーが一番やりやすいだろ?」
確かに、ミキさんの言う通りこの4人のシフトが一番気が楽だ。人は自分と"同種"だと思う部分があると、気持ちが楽だし一緒に居ても苦にならないのだから。
俺を"なーちゃん"と呼んだのが桃原白亜(ももはら はくあ)さん。皆からはハクのあだ名で呼ばれている。
大学3年生だが、身長は俺よりも5cm程低くて小柄で可愛らしい人。
アッシュブラウンの髪色は自然な色合いで、長い前髪は頭の上で色ピン止めされている。
本人曰く、ゲイでバリネコ。あざとい部分もあるがそれは客受け用。バイト以外ではかなりズバズバ言う性格だ。
そして、もう1人、俺を"なー"と呼んだのが若梅夜一(わかうめ よいち)さん。俺達はウメさんの愛称で呼んでいる。
大学生の時からここでバイトをしていて、そのまま正規で雇って貰っている数少ない正規スタッフ。
長髪の黒髪で、バイト中は高い位置でポニーテールにしている。
基本無表情で感情が表に出にくいけど、中性的な顔なので客からは「氷の女王」のあだ名で親しまれている。
こちらは本人曰く、ゲイ寄りのバイでタチネコどっちでもイケるが、ネコの方が性に合っているらしい。
因みに、俺よりも10cmは身長が高い。
裏へ行ってバイトの制服に着替えて、俺も開店の準備をする。
「なーちゃん、今日も部活の後のコレ?」
「はい、だから毎日クタクタですよ」
「でも偉いよな、高校生なのにバイトもして」
「2人には言ってるじゃないですか。お金を貯めて早く家を出たいって」
「ナナちゃんもこのままここで永久就職しちゃうか?」
「考えておいてもいいですよ」
手を動かしながら、そんな話に花を咲かせた。
お客さんには内緒だが、ここの人は俺が高校生だと言うことは知っている。知っていても何一つ態度は変わらない。
そんなここは、学校よりも家よりも居心地がいい。
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