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そうと決まれば、まずは咲夜に「風邪で休む」と仮病の連絡を入れると、直ぐに「お大事に」と返信が来た。
丁度今日の1限は担任の授業だから、そのまま伝えてくれるだろう。
次にまだ家にいるであろう兄さんに電話をする。
今まで無断外泊をしたことないからかなり心配かけたらしくて…第一声が「薺無事なの!?」だった。
僕は「心配かけてごめんなさい。友達の家で勉強してたんですけど途中で寝てしまい連絡出来なくて…」と言い訳を口にする。
電話越しで兄さんのホッと息を吐く音が聞こえて、申し訳なさからの罪悪感を持った。
学校には行く…と言いたいとこだが、制服が家にあるからそれは言えなくて、止む終えず風邪気味だから友達の家で休んで行くから学校は休むと伝える。
それを信じたかどうかは分からないが、「親御さんの迷惑にならないようにね」と言われた。
電話を切ってホッと息を吐いていたら、後ろからふんわりと抱き締められる。
「…今のお兄さん?」
「うん、僕の7つ上の大学院生の兄だよ」
「…ナズは家族に対して敬語を使うクセがあるの?それとも…」
キョウ君に体重を預けるように凭れて話すが、家族の話をされるとどこまで話したいか分からなくなる。
多分、キョウ君はそれを分かってくれていると思う。だから、最後まで言わずに言葉を濁した。
「…家族にとって僕は、邪魔な存在でしかないから…」
「…そっか…ナズは家族が嫌い?」
「嫌いじゃないよ…でも……」
家族の幸せを奪ったのは自分だから…そう言うことは出来なかった。
それをキョウ君が知ることで、少なからず自分に対して嫌悪感を感じてしまうかもしれない…それが怖かった。
可笑しいな…いつかは離れなきゃいけないと分かっているのに、嫌われたくないと思ってしまう。
凭れていた向きを向かい合うように変えてキョウ君の腕の中にスッポリ収まる。
「…ナズ、話したくなければ話さなくていいっていったでしょ?」
「ん……何でキョウ君は、僕なんかの気持ちが分かるの?」
「コラ、"僕なんか"って言うなって言ったでしょ」
「いたっ!」
額にお仕置きと言わんばかりのデコピンをされて鋭い痛みが走る。
何でキョウ君が怒ってるのか良く分からなくて、額を押さえながら表情を伺う。
キョウ君は、「…そんな顔、誰かに見せたらダメだからね」と複雑な表情をしながらデコピンした額を撫でてくれた。
「そんな顔?」
「んー、俺のことが好き過ぎて顔を真っ赤にしてるよ」
「へっ!?う、嘘っ!」
指摘されると心無しか、顔が熱くなって火照ってる気がする。
少しでも熱を取り払うように手でピタピタと顔を押さえる。
「っ今まで無事でいたことが奇跡みたい…」
「…何言ってんの?」
またもや意味不明なことを言うキョウ君に、思わずツッコミを入れた。
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