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スキンシップが激しいと言っただけでそこまで言い当てられるとは…それに、この黒い感情が嫉妬だと認めざるおえない。
「っ嫉妬、した。付き合ってた人にも頭撫でたり抱き着いたり…か、可愛いって言ってると思うと…っ」
「あーもー…何でナズってこんなに可愛いんだろう…」
何に嫉妬してるのか…それを素直に話すのは恥ずかしかったが、キョウ君が横髪をクシャリと無造作に掴みながら照れたように言った。
そんな姿をすることに驚く。
すると、一つ咳払いをしてから人差し指で鼻の頂きを掻きながら話し出す。
「…今まで何人かの女性と付き合ってきたよ。でも、付き合っても直ぐに別れるばかりだった。告白はあっちからばかりで別れを告げられるのも相手から」
「なんか…意外」
「そうでもないよ。だって俺にも悪い所はあったんだからさ」
「キョウ君の…悪いとこ?」
「今まで本気で恋愛をしたことがないんだよ。人を好きになったことも」
ベッドから立ち上がり、窓際に立ち竦んだ。
窓から外を眺めながら話を続ける。
「だからいつもフラれる時の決まり文句は『愛情を感じられない』だったよ」
「…キョウ君」
「そんな寂しそうな声しないでよ。別にそれに対して傷付いたことはなかったから。ただ…大切にはしてたつもりだったけどね」
窓際からベッドに乗っている僕を見ると、目を伏せたまま小さく笑った。
その表情は憂を帯びていて近くにいるのに遠くにいる錯覚を覚えた。
それが怖くなり、慌ててキョウ君の元へ行き抱き着く。
「え、ナズ…?」
「…僕は違うよ。例えキョウ君と別れる時が来たとしても、胸を張って大切にされていたって言えるから」
「薺…ん、ありがとう」
「僕はキョウ君のこと大切にする。そうすれば、嫌な思いを抱えて別れることはないと思うから」
「…ナズの言ってることって、別れる前提で話してない?」
……あれ?少し落ち込んでた筈なのに、何だか口調に強みが含んでるような…。
そう思い顔を上げてみると、つい数時間前に見た口角は上がっているけど目は笑ってない顔だった。
「ひっ…!」
「丁度良かったよ。薺とはたっぷり話したいことがあったから」
怖い、怖すぎる。でも、いつの日かの別れを仄めかす言い方をした自分が悪いんだよな…。
今が幸せならいいんだ…その感情を悟られてしまいそうで、それも怖かった。
「あぁ、それと。今まで付き合ってた人にはベタベタしたことなかったよ。だから、ナズにしかスキンシップ激しくないから安心して」
「あ、うん、そっか…」
「さて、さっきの言葉の意味はどういうことか…話してくれるよね?」
「いや、えっと…その…」
「言ったよな?思ってること感じてることは話せって」
この時思った。
キョウ君を怒らせてはダメだと。
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