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謝罪の言葉は…
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「何も。……あんたが先に、俺のコト、要らなくなっただけでしょ」
「わかんねぇよ」
包み込む腕が離れ、くるりと身体を返された。
俺の両腕をぎゅっと掴んだ上倉の顔が、ぐっと歪む。
現状を理解しようと、じっと見つめる上倉の視線が、痛い。
「知ってる。……あのバーのママと…桜さんと、デキてるんでしょ?」
俺の言葉に、上倉が呆気に取られた顔をする。
苦しくて、痛くて、堪らなくて、…瞳を逃がした。
「だから、俺なんて、要らないでしょ? 邪魔、…でしょ?」
ぎゅっと俺の腕を掴む上倉の手をゆっくりと剥がした。
上倉は、外された手を自分の髪の中へと突っ込み、ぐしゃぐしゃと混ぜる。
「桜…、あいつの本名、桜樹(おうき)…って、んなことどうでもいい」
ぐしゃぐしゃと髪を混ぜながら、声にならない音を放った上倉の瞳が、俺を見る。
「桜とは、従兄弟」
その言葉に、俺は、眉根を寄せる。
「そういう関係じゃ…、お前が思っているような間柄じゃない」
きゅっと、俺の眉間に皺が寄る。
「何を見た? …なんで、そうなった?」
慌てる上倉に、俺は言葉を失ったまま。
上倉は、自分で自分を抱え、腕を摩る。
「あー、悪い。考えただけで、鳥肌立った……」
ぞわぞわとする気持ち悪さを振り払うように、上倉は頭を振るう。
「だって……、でも、…同じ家から出て……」
やっと動いた唇で紡いだ言葉は、上倉を疑う言葉。
「バイト先が近かったから、居候してたの。それだけ。マジで」
ぶるっと身体を震わせた上倉は、じっと俺を見やる。
……誤解、だったんだ。
でも、事実は変わらない。
俺が、浮気してしまった事実は……、変わりない。
俺の顔は、自然と俯く。
ごめんなさい、その一言すら紡げないほどに、喉が絞まっていた。
「ごめん、な」
謝ったのは、上倉だった。
上倉の言葉に、俺は、瞳を上げる。
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