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会食 Ⅱ
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ゆうごに お父さんと会って欲しいと言われてから
ゆうごと似た雰囲気の人か
厳しそうな感じの人を想像していた
でも ドアの向こうから現れた人は
ゆうごとは あまり似ていない人だった
勿論 顔はすごく整ってるんだけど
格好良いというよりかは
綺麗という言葉が 合っている様な気がした
ゆうごより大きめな瞳 スッと通った鼻筋
整えられたロマンスグレーの髪色が
雰囲気とすごく合っていて 思わず見惚れてしまった
でも ゆうごの隣にいる僕を見ると
驚いた様に目を見開いていて
隠れたい気持ちで いっぱいになった
「父さん 今日は」
「この子がそうなのか⁉︎」
ゆうごの言葉を遮った声に ビクッと体が跳ねてしまい
思わずゆうごの服の裾を ギュッと掴んだ
「蓮より若いんじゃないのか⁉︎」
「あ…はい…15才です」
蓮って…誰…⁇
もしかして ゆうごの 本来決められていた相手なんじゃ…
知らない名前に 不安な気持ちが ピークに達していく
「…15」
呆れた様な ゆうごのお父さんの声
やっぱり僕は ゆうごに相応しくないのかな…
でも もうゆうごから離れるのは嫌で
僕の意思とは関係なく 唇が震えた
「…名前は⁇」
「あ えっと」
「私は その子に 訊いてるんだ」
ゆうごに背中を叩かれて ハッと顔を上げた
ゆうごのお父さんは 真っ直ぐ僕を見ていて
無意識に ゴクリと喉が鳴った
「…あ…」
名字というものを 先日病院で数年振りに書いた
しかも母方の性は 馴染みが薄く
書く手が 一瞬止まってしまった程だった
緊張状態の今も 咄嗟に父方の名字を言いそうになって
口籠ってしまった
そんな僕を ゆうごが心配そうに 見つめていて
何度か小さく呼吸を繰り返した
「…く……鞍月…創です」
「創君は
息子のどんな所が良いと思ってくれてるのかな⁇」
厳しいけど 優しい
ゆうごのその言葉が 蘇って来ると 今日まで過ごした事が
自然と頭を過って 僕は思った通りの事を口にした
「…優しくて……お日様みたいな所です」
「…そうか」
ゆうごのお父さんは
一人分のお皿がある方の椅子に座ると
僕達にも座る様促してくれた
「先ずは 最低限の学歴」
ゆうごのお父さんの言葉に顔を上げたのは 二人同時で
この時の僕は 狐につままれたような顔をしていたと思う
「それと 番になるのは
せめて16才になってからにしなさい」
「父さん…」
ゆうごの言葉には 安堵の色が含まれている
僕は ただ呆然とその言葉を聞いていた
「段取りは しっかりしなさい
ちゃんとしないと お前を誑かしたなどと
心無い事を言われて傷つくのは 創君の方なんだからな」
「はい‼︎」
「学校は 今どうしてるんだ⁇」
「これから 通わせようと思ってます
塾の講師をしている友人が
日中 家庭教師をしてくれる話があって」
そうなんだ 初めて知った…
「高校は 出来れば敬聖学園にと思ってます」
「そうか また決まったら報告しなさい」
「はい」
僕の話なのに どこか置いてけぼり感がして
不安になってゆうごを見上げると
すごく嬉しそうに笑っていて
つられて僕まで 笑ってしまった
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