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見慣れた光景、揺れるカーテン。
額に手の甲を押し当ててはぁ、と溜め息。
此処に運んだのも寝かしたのも遙眞だろう。
いつももらってばっかりで何もできない自分が嫌になる。
俺が起きたのに気付いたのか開くカーテン。
保健室の先生と遙眞が、
そう思っていたのに顔を覗かしたのは先生だけ。
「体調はどう??」
先生が問いかける。
ただの体力不足の結果で別段問題なんてない。調子もよかったわけだし。
「大丈夫です。」
「そう…じゃあ、もう下校時刻だし送っていくよ。」
「遙眞、は??」
先生が送っていくってどういうことだろう。
病院に行くほど酷い時、早退しても親が家にいる時は送ってもらったことはある。確かに、放課後までどうしようもなくって送ってもらうこともあった。
でも、それでも、それはそんなのは遙眞が予定がある時だけでそんな日は滅多になくて、基本、俺を送るのは遙眞だった。
今日だってそうなると思っていた。
なのに……
どうして遙眞がいない??
「あー、生水くんは少し体調が優れないように見えたから先に帰らせたんだけど……僕じゃ不満??」
あぁ、そういうこと、か……
あの時、遙眞は心ここに在らずだった。
体調が優れないように見えたというのも納得だ。
でも、遙眞のことだから居てくれる、とそう思っていた。
なんだか寂しく感じて胸が苦しい。頼ってばかりなんていっておきながら頼りたいんだから悲しくなる。
「そんな、不満じゃ、ない、です。ありがとうございます。」
そう返すと先生が「今日は自分で帰ります、とか虚勢はらないんだね、」なんて笑ってた。確かに、人の好意をそのまま何も言わずに受け取るのは久しぶりかもしれない。
それだけ、遙眞がいないのはショックだったんだと思う。
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