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石の隙間...2
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バスの中。
寝ている夏希の体重が俺の肩に任されていた。
「すー…すーー…」
寝息を立てて、
安心して寝ているようだ。
また、うなされないかな?
起きた時に、「俺がいない」って泣かないか?
バスのアナウンスを聞いて、ボタンを押す。
渚は、俺達の1つ前の席で
見事に爆睡している。
「渚、なぁぎさぁっっ
起きて!降りるぞーー!」
「…んんんん、ふぁぁ
おはよ。」
渚に、夏希の定期と俺の分のお金を渡して
俺は夏希を抱きかかえた。
バスから降りて、家に向かおうとすると
今まで、固く閉じていた瞼が
ふいに開いた。
―まだ、見てたかったんだけどな…
「夏希。起きた?」
「ん…湊。だぁぁぁ。」
ふわっと笑う。
幸せそうに、俺が見たことある笑顔で。
「夏希??もうすぐ着くから。
歩く??」
「や。」
「このまま?」
「ん。」
かわいいなぁ。
もう、触れることはないんだろうけど。
―もう、最後だから。
「渚、ちょとこっち見ないでくれてもいい?」
「キスでもすんのかぁぁー??」
ニヤニヤした顔がこっちを向く。
その後、「わかったよ」と言って
前をみて歩き出した。
―ちゅっ
「んぅ…み、なと??
なんで、そんな悲しそうな顔してるの?」
残酷なこと聞くなぁぁ…
「何でだろうね?」
石を積み上げたその隙間から
光がチラチラ射し込むように
ふっと、希望を魅せられては
また暗闇に落とされる。
その、夏希の意思の隙間。
けど何も責めたりしない。
―幸せになれよ。
そう思いながら、
夏希の家に着き、ベットに寝かして
俺は家に帰った。
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