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《急転》17
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「…そうですね、本来ならば両親に連絡をとるべきなのでしょうが…たとえ危篤だと伝えても、アキラの父は会いに来ることはないでしょう」
残酷な真実…
むしろ…兄ミツルがこの状況を知ったらアキラの呼吸器を止めてしまうかもしれない…
「……」
言葉が出ないみずき…
一度だけ目にしたことがある、アキラの父親…
アキラによく似ていて、弟とは話をしていたが、アキラのことは一瞬さえも振り返ることなく去っていった白衣の人物…
そして…
「……母親も同様に」
両親から見放されているという事実を…。
「…そんな、」
「ずっと本当の親の愛を知らずに育ってきた子だから、今は誰かがそばにいて寂しい思いをさせないようにしてやりたいのです。残念ながら僕はこの子のそばにずっと居てやることはできません…だから、辛い難病に立ち向かうこの子には鈴鹿さんのような支えが必要なのです…本人はそういう面を見せたがらないと思いますが…」
願うような気持ちで健次はみずきに伝える。
「…、俺なんかアキラの足下にも及ばない弱い人間ですが…そばにいていいのなら、ずっと支えていきたいと思っています」
弱いながらも…側にいて、アキラの支えに少しでもなれるなら…
「ありがとうございます。アキラは自分の命を軽く見るところがあります、それは…病を持つ身体だから、人の役には立てないと決めつけて…でも、一番の理由は、親から愛されずに育ったため、自分は必要とされていないという気持ちがずっとアキラを苦しめているのだと思います」
健次は眠るアキラの髪を撫でながら話す…
「でもそうではないことをアキラに教えてやって欲しい…生きていて欲しいと願う者がいることを…」
健次は優しく語りかける。
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