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ラニアン襲来-8
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学生がレジュメを取りに来る望みは絶たれたにしても、律耶がレッスンを終えて、漣人と連絡が付かない事に気付いたら流石に探回ってくれるに違いない。
律耶を信じて体力を温存して待っていよう。
――ガタッ。
靴を脱いでソファーに座り込んでいたら、引き戸の辺りから音が聞こえて咄嗟に身構えた。
もしかして、ラニアンが直接襲撃にやって来たのか?
部屋を見渡して武器になりそうなものを探すが見事に何もない。
とにかく隠れるのが先だと、靴を履いて鞄を掴むとソファーの後ろに回り込んだ。
ガラッ。
どれだけ開けようとしても言う事を聞かなかった引き戸がすんなりと開いて廊下の空気が流れ込む。
「誰かいるのか?」
「え?」
ソファーの上から顔を出して様子を伺うとそこにあったのは意外な顔だった。
「中濱先輩?」
「中丸!」
律耶に怒られるのが恐ろしくて学校を休んでいるという柔道部の猛者。
「何でお前がここに?」
「話せば長くなるんですけど……でも助かりました。ありがとうございます」
とりあえず礼を述べてから事情を掻い摘まんで説明すると、中濱にも何か思い当たる節があるようで話し始めた。
「柔道の遠征から帰って来て集中講義の予定を見に行ったんだよ。そしたら小野田が地下から出てくるだろ」
中濱と目が合ったラニアンは慌てて目を逸らし、逃げるように立ち去った。
地下になんか一体何の用事があったのか。
その時はそのまま柔道部の部室に向かったが、直感で何かが起きているのではないかという惧れを抱いて地下に下りてみた。
引き戸につっかえ棒がしてある部屋を見つけて、開けてみると漣人が閉じ込められていた。
「と、言いたいところだけど、明日のレジュメを取りに戻ったらこの部屋に行けと言うメッセージがあったからさ」
「本当、ありがとうございました!」
このまま暫く休んでいたいところだけと、連絡が取れなかったから律耶が心配しているかもしれない。
東棟に向かいたいと言うと、中濱が送っていこうと申し出てくれた。
「何かあったら後味悪いからさ」
「ありがとうございます」
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