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ハネムーン 12 (士郎side)
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「……ン…」
細かい痙攣が続く。
いつまでも止まない、さざ波のように。
直接中に放ったものを掻き出してやらなければと思うのに、身体が甘く痺れて動けなかった。
「……ンなに、よかったかよ……?」
「……っ、……バカが」
毒のように甘い声が、より一層深い酩酊感をもたらし、もういっそ永遠に龍之介という名の毒に冒されていたい……そんな気分で目を閉じた。
「ハッ……、ヤベェな。……ストイックなオマエの溶けた表情見てたら、別のスイッチが入っちまった」
獰猛な肉食獣の瞳で、龍之介が上唇を舐めた。
途端に奥が疼き、気づいた龍之介が笑う。
「……ンとに、物覚えのいいヤツだ」
こちらの身体を抱え込むようにして左右から忍び込み、一本ずつ埋め込まれた指が、魔法のように抗えない快感を紡ぎ出してゆく。
「……っ、海に、行くんだろ……っ?」
「……へェ、余裕じゃねェか」
こっちに集中しろとばかりに、緩やかな気を送り込まれた。
「は……っ」
もういっそ一気に崩して欲しいのに、いたずらに理性を残し屈してゆく表情を楽しむなど、悪魔の所業だ。
ジワジワと内側から溶かされていく。
疼きは時を追うごとにひどくなり、声を殺すのも限界だと唇を噛み締めた頃。
「血の味のするキスも悪かねェが、口ン中に傷ができちまったらよ、おしゃぶりン時、楽しめねェだろ……?」
「……っ」
代わりにコレでも咥えとけ、と無理やり己の指を咥えさせられた。
「……っ、はっ、ぁ……っ」
噛み締められなくなった唇からは止めどない喘ぎ声が溢れ、絡みつく脚と奥を犯す指先で縫い止められた身体には、逃げ場すらなく。
「も……っ、やめ…っ、く…ぁっ」
「……まだ、だな」
一番感じる部分をわざと外しながら、節くれ立った長い指が奥をえぐった。
「あ…っ」
「まだ理性が残ってやがる……。もっと狂え。……狂って泣きわめいて、自分から脚を開いちまうくらい、堕ちて来い……」
毒のように甘い声が脳を揺らす。
次第にまともな思考が麻痺していく。
怒りも悔しさも淫らな自分への絶望感さえ曖昧になり、最後に残るのはただ最愛の男と深く……どこまでも深く身体を重ねることを望む、底知れない欲ばかりだ。
この男はいつだって限界まで崩しにくる。
そのくせ堕ちたら堕ちたで、つまらないと落胆するのだから、たまらない。
深くため息をつけば、黒曜石の瞳がわずかに憂いを帯びた。
己の愛し方の残酷さを、誰よりよくわかっているのだろう。
何度も離されかけた手を、握ったのはむしろ、自分の方だ。
破滅に向かうこの男を、受け止められるのは自分しかいないと、思ってしまった。
残酷でやさしく、孤独で哀しい龍之介の側にいてやりたい……いたいと決めた日から、この愛しい胸の痛みは永遠に途切れることがない。
ただひたすらに無事を願い、束の間の逢瀬に胸を引きちぎられ、魂ごと全部奪われては再びの喪失に呆然と立ち尽くす。
いつ終わるとも知れない苦行を繰り返す。
それでもこの手を離したいと本気で思ったことは、ただの一度もないのだ。
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