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番外編「バレンタインデー」終
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ナギが部屋を出ていって約五分ほど経って顔の温度がある程度下がってきたころ、ガチャっとドアのノブが鳴り
後ろ手に何やら箱っぽいものを持ったナギが恐る恐る入ってくる。
「お、おまたせ....」
「お、おせーよ..5分も待った.....」
「あ、ご、ごめん...心の準備に時間がかかっちゃって..」
どもりながらも俺の向かい側に座ってじっとこちらを見つめてくる。
あまりに熱い視線を送ってくるものだから、俺は反射的に視線をそらしてしまう。
「い、五十鈴...その...コレ..」
そういってナギが後ろ手に持っていた箱を差し出した。
ダークブラウンの縦に長い箱で、シンプルなオレンジのリボンがかけてある。
そして、そこからほのかに香るカカオの香り。
すぐに中身がチョコ菓子だとわかった。
「俺にくれんの?」
「………うん」
「マジで?」
「ま、まじで....てか渡す相手...五十鈴以外にいると思う?」
そう上目遣いで言われた瞬間ときめき過ぎて心臓止まるかと思った。
お、俺の恋人がこんなに可愛い....!!!
ごめんナギ、今夜は寝かせそうにないかもしれない。
俺の中でひそかにオールナイトが決定した。
そんなことを考えているとナギがこちらをキッと睨んでいた。
「....で、貰ってくれるの?」
「もちろん!!だ、大事に食べるからっ!!」
「いや、今1個食べてよ....」
「あ...うん」
リボンを解き、箱を開ける。
中にはチョコレートが4個入っていた。
形は様々で花型と動物型のがそれぞれ2個ずつといったところだ。
「すげ...こんな型あったんだ...」
「た、たまたま家にあったの..って早く食べてよっ」
「ああ、うん」
急かされたのでとりあえず猫の形をしたのを口に放り込んだ。パキっと歯で砕くと中からブルーベリーソースが出て口の中にブルーベリーの甘味が広がる。
「........」
つい無言でじっくり味わってしまった。
多分市販のが美味いのかもしれないけど、でもナギが俺のために作ってくれたってだけでものすごく美味しく感じた。
まあ、現にめっちゃ美味いんだけどね?
「ど、どう?」
「...美味い...めっちゃ美味い..ありがと海凪..」
もっと吃るもんかと思ってた言葉が思いのほかすんなりと口から出て、内心驚いた。
少し間を置いてナギの瞳が一瞬大きく揺らぎ、ほろりと大粒の雫が零れ落ちる。
「お、おいどうしたあぁ!?」
「うぅ...だ..だって...うぁぁ..」
まさかの反応にあわてふためきとりあえずナギを抱きしめて背をさすり、なんとか落ち着かせようとした。
「な、泣くな泣くな!ちょっと俺不安になっちゃうからぁ!!」
「俺..作るの、初めてで...でもおいしいって..言ってもらえたから..嬉しくて..うぁぁ」
そういえばコイツ..料理はある程度出来ても菓子作りはしたことないって前言ってたな..
ふとナギが以前言っていたことを思い出す。
家に一人でいることが多いナギは料理は人並みに出来る。
だが、菓子作りのほうは小さいときに母親と簡単なホットケーキを焼いたことがある程度。
1人でレシピ見ながらっていうのは今回が初めてで、その分不安が募っていたんだろう。
「あぁ、美味かったよ?市販のやつよりずっと..」
「ぐす..ん..ありがと...」
なんとか落ち着いたみたいだ。
いきなり泣き出したときは心臓キュッてなったのは一応内緒にしておく。
「ん...もう大丈夫..ごめん..急に泣いちゃって」
「いやいいよ、さて...残りは家でゆっくりじっくり味わって食うからなっ」
ニッと笑って言えばナギも少し頬を赤らめてニッと笑った。
その笑顔がたまらなく愛おしくてまた強く抱きしめる。
ナギは一瞬肩を強ばらせたが、優しく抱き締め返してくれた。
「なぁ海凪...今日さ、泊まってもいい?親父もなんか許可してくれたし....」
「え、あ..うん.....」
「やった...今夜は寝かさないぜ?」
(今夜は寝かさないぜぇ?)
「はぇ?!い..五十鈴?!」
何故かナギが顔真っ赤にしてすげぇ驚いてる。
俺なんか変なこと言ったのだろうか..?
なんでだろ...ま、良いか!
そんなこんなで少しドギマギしていたバレンタインデーは無事ハッピーエンドになり、海凪とじっくりと愛を確かめあった。
~~~~ ~~~~
ホワイトデーのお返しもちゃんとしたぞ!
さらに運がいいことにその日は俺の親父が出張でいなかったから、俺ん家で一緒にのんびり過ごしたんだ。
ナギのやつすげえ幸せそうな顔してさ、ずっとこうして2人でのんびり出来たらもっと幸せなんだろうな。
「なぁナギ....」
「ん〜?なぁに」
「高校出たらさ、一緒に住まねぇ?」
「え.....」
「どう?」
「......うんっ」
ほら、もっと幸せそうな顔しやがった……。
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