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何事もなかったかのように楓は、次のサークルにはやってきた。いつものように輝が中央の調理台で料理をしているのを、楓は目の前に座り頬杖をついて眺めている。
「楓……体の具合は大丈夫なのか?」
料理中とは言え目をそちらに向けることはできるはずなのに、なぜか今日はそれがすぐにできず鍋の中を見つめてしまう。
「うん。お医者さんに見てもらったけど、ただのストレスからくるものだろうって言われたよ」
「そんなにストレスになるようなことがあったのか? もしかして……俺が頼んだことが、負担になっているとか……」
やっと手元から視線を離し楓の薄夕焼け色の瞳を見つめると、少し疲れていた顔が驚きの表情に変わった。
「なっ……ないよ! それは絶対ない! 絵は描けるし美味しい物も食べられるし、皆んな優しいから毎週ここに来るのが楽しいもん!」
「そうか……それなら良かった。安心した」
ふわりと微笑む輝を見てまた楓は、この前の刺すような痛みとは違う苦しさを胸の中に感じた。
ーー何これ……もう嫌だ。やっぱり僕、病気なのかな……。
気づかれないようにそっと、胸元を押さえる。この苦しさや痛みがどこから来ているのかここ数日ずっと考えていたが、考えれば考えるほど分からない。今まで生きてきた中で、味わったことのない痛みに不安が広がってしまう。
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