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☆勘違い キヨヒラ
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俺と付き合ってるはずのキヨが知らない女の人と道で抱き合ってた。あー…浮気ってやつ?俺泣くかな?
あ、でもそんなことないかも。なんだろう?特になんとも思わないな。俺ってこんなに薄情なやつだっけ?
そりゃあ、嫌だとは思う。けど、キヨだって人だしね。情があると思う。俺から告白したから無理して俺と付き合ってたんだ。なるほどね、納得。
もう帰ろっかな。
キヨと女の人を背にして家に帰る。耳にイヤホンをさして大音量で音楽を聞いた。
俺って薄情なやつだと思ったけどそうでもないかもね。だって大音量なのはこの気持ちを消したいから、忘れたいから。
それに涙だって流れてる。てか道で涙流すって…人に会ったら終わるやつじゃん。
「あーあ、好きだったんだけどなぁ…」
気付いたら涙は止まらなかった。
最後にさよならくらい言った方がいいよね。
スマホを取り出しLINEを開く。
『キヨ、今から会える?』
既読が付いて『了解』と返事が来たので場所を指定して待つことにした。
「はー…これで終わりかぁ…案外呆気ないや」
雨が降ってきた。いや、降水確率20%だよ?降らない確率のが多くない?まあ、涙を隠すのには丁度良いかもしれない。あ、傘持ってない。既に服も髪も濡れてた。今更気にしてもしょうがないのかもしれない。
ぼーっと待ってたら後ろから声がした。
「ん」
今来たキヨから差し出された傘を意地を張って突っ撥ねる。
「いらないよ、そんなの」
「何で?」
「関係なくない?そういうとこあるよね、キヨって」
「いや、一応俺お前の恋人だし。気になるじゃん」
「一応ってなに?本当はやだってこと?まあ、そうだよね。俺なんかと付き合ってること自体嫌だよね。うん、知ってた。分かってた。俺なんか所詮」
「ヒラ、ちょっと黙って」
抱きしめられる。あんなことしておきながらこれはズルくない?そんなの期待するじゃん。しちゃうじゃん。
「ねぇ、そういうのってさっきの彼女にしてあげなきゃダメなんじゃないの?俺なんかにやっても意味無いよ」
「は?彼女とかいねぇし。お前だけだって」
「嘘だ。さっき道でハグしてたじゃん。今みたいにさ。人目も気にせずに」
「見てたのかよ!?ていうかあれは元カノだしよ。向こうから勝手にやってきたんだよ。俺からした訳じゃない。誤解させたなら謝るわ。ごめん」
うーわ、勘違いとか恥ずかしい。馬鹿みたいだ。
「そう…だったんだ。こっちこそ勘違いしてごめん」
「いや、別に…」
さっきから今までずっと雨の中抱きしめられている。こういうのは家で行って頂きたいものだ。
「帰ってから抱きしめてくんない?」
「それってお誘い?」
「何の?」
「えー!それ言わせる?」
「え、言えないこと?」
「いや、セックス」
「ばっ…/////違う!」
「あー、なるほどね。無自覚ってやつか。うんうん、なるほど。じゃあ、帰るか」
「ねぇ、帰ってから何すんの?今んとこ嫌な予感しかしないんだけど」
「あー…なんもしねぇよ!」
「ねぇ、今凄い嘘ついたよね?弾けんばかりの笑顔でいっそ清々しい嘘つくのやめて?」
「さっ、帰ろー」
「ねぇ!?怖いんだけど!?」
傘もささず、手を引かれて家まで帰る帰路は今までで一番楽しくてバカみたいだった。
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