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「鈴原に言っておきたい事がある。それを聞いたらお前は俺から離れてくかもしれない」
たとえ離れていったとしても俺は鈴原が好きだから、未来は暗い。
真っ暗闇だ。
でも、それでも、逃げるよりはずっと良い。
「お前は知らねえかもしれないけど、俺たち兄弟なんだ」
「は......?」
目を見開く鈴原に、写真を見せる。
写っているのは、おそらく小学時代の鈴原。
そして......親父。
出て行った俺の父親だ。
忘れたくても忘れられなかったその顔がそこにある。
鈴原は前に、書類上は違うが父さんが再婚したと言っていた。
それが意味するのは、実の親が父親ってことだ。
つまり俺たちは、腹違いの兄弟。
俺たちは一歳しか変わらないから、親父のクズさは相当のもの。母さんも荒れるはずだ。
鈴原はきっとこれを知らない。
知ってたら、俺に近づくわけがない。
どっちが不倫の末の子供だか知らんが、そんなやつのこと好きになるか普通?
感じるのは嫌悪だろう。
そして半分とはいえ、血の繋がっている人間と交わりたいなんて思うはずがない。
そんなやつをいまだに好きな俺は相当馬鹿だ。
「どうだ?嫌いになったか?」
泣きそうなのをこらえながら、自虐的に笑う。
鈴原の答えが怖い。
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