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学校
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朝から色々な音が聞こえる。
すべて途切れ途切れにしか聞こえない俺には、
何を言っているか理解出来ないんだけど…
ここは男子校。
普通の学校。
口の動きで内容が理解できるため、
別に不便はしないから。
まぁみんなはこの補聴器で聞いてると思ってるんだろうけど…
朝一番に、自分の席につく。
他の人は友達と談笑してるんだろうけど、なにせ俺には友達がいないから。
先生が入ってきて、ホームルームが始まる。
え?なに?転校生?
(城野鈴。女みたいな名前だけど男です)
は?ここは男子校だから男に決まってるじゃないか。
周りもざわざわしているから、俺と同じツッコミなのかも…
でも綺麗。
兄さんも大概整っているけど、同じくらい。いや、もっと整っている顔。
不覚にも見とれてしまう。
(城野はそこ、神崎の隣な)
待て待て。俺の隣だと?
しかも左隣。
何話されても聞こえねぇよ。
俺の気持ちなんかお構いなしに、
城野がどんどん近づいてくる。
ずっと顔を見るのもおかしいので、
城野から顔を逸らしていた。
「……まっ……よ…の…し」
周りがざわざわする。
俺のことか?
そう思ったとき、左肩を叩かれた。
振り向くと、城野が(よろしく)って…
「あぁよろしく」
そう言って前を向くと、先生が何か話していた。
途中からだと訳がわからない。
後で聞こうと思ってクラスの人を見ると、
俺のことをチラチラみて、話していた。
口元を見ると、(また始まったよ。神崎の無視)だってさ。
聞こえねぇんだよ。
無視じゃねぇよ。
そんなこと言っても仕方ない。
ホームルームが終わったようだし、先生に聞きにいくか…
「先生、さっきなんて仰いました?」
「聞いてなかったのか?お前、城野の校舎案内係なってこと。放課後よろしくな」
はい?強制ですか?
「わかりました。よ…」
1時間目は数学。
それはいいんだけど、酷いのは次の古典。
そして英語。
古典の先生は口の開きが小さくて理解に苦しむし、
英語に至っては発音が意味不明。
あぁ、憂鬱。
理解することをやめてぼーっと過ごしていると、
あっという間に放課後になった。
校舎案内だと?
だるいんだけど…
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