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鈴にい-1
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これでもう晩里からあんな目にあわされることはないんだ!!
晴れて恋人になったんだから、あんな「罰則」はもうされまい。
――なんて、読みが甘すぎた。
躾と称する晩里の折檻は以前にも増して激しくなった。
ベッドでお菓子を食べる度に「いけない事だと身体に直接教え込みます」と、大事なところをギュウギュウ吸われる。
ちょっとでも歯向かおうとすると、耳の穴から脳みそを出されそうになる。
そんな罰則が毎日のように繰り返されるけど、夜になって俺が部屋を訪れると晩里は別人のように穏やかになるのだった。
「晩里?」
今日の晩里は何か言いたい事があるのか、口を開きかけてはまた閉じるといった動作を繰り返していた。
「……」
「どしたの?」
「今度……今度休みの日に何処かに出掛けませんか?」
思いきって思いきりまくって絞り出したというような声は細かく震えていた。
「……」
晩里からのお誘いにびっくりして声が出ないだけなんだけど、晩里はそうは取らなかったようだ。
「嫌……ですか」
晩里はしょんぼりと目を伏せて俯いてしまった。
「ち、違うよ。びっくりしただけ」
そう言った途端に良かったと晩里は顔を綻ばせたけど、そもそも晩里の休日っていつなのだろうか。
去年のおじちゃん寮長は上手に休みを取っては好きな競馬によく行っていたけど、晩里が寮から離れるところはあまり見たことがない。
「夏休みは帰省する寮生も多いので纏まった休みが取れそうなのですよ」
「夏休み?」
そんなのまだまだ先だし、どうせならもっと早く晩里と遊びたい。
「それまでに休みないの?」
「そうですね……1日休みにするのは難しいですが、早めに掃除と夕食の支度を終えれば午後から出掛けることは可能ですよ」
「じゃあ、俺も手伝う!」
張り切って手を挙げると晩里は嬉しそうに目を細めた。
「来週の水曜日、午後から休講だからその日でもいい?」
「はい」
こうして、初めてのデートが無事実現する……筈だった。
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