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危ない第2寮-9
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キリの真似をしてピタリと張り付くと第5寮よりは壁が薄いようで、隣の会話ははっきりと聞き取ることができた。
「口うるさいやつの事は忘れて映画でも見ようぜ~」
「いいよ、だけど寒くない? この部屋」
「えー? こんなもんだって」
「そうかな? ほら、うちの寮集中冷暖房だから」
いつからうちの学校の寮は集中冷暖房になったんだ!!
口から出任せを言う男にも腹が立つし、コロッと騙される望夢も望夢だ。
「何飲む?」
「何がある?」
「んー、ちょっと待ってて」
パタパタと足音が遠ざかっていって暫く静寂が続いた。
「何これ、お酒しかないじゃん」
「映画鑑賞ってったら酒が付き物だろ」
隣で「だろだろ」とキリが合いの手を入れるからお尻をつねり上げてやった。
「映画、何見るの?」
「これ」
壁があるから「これ」は何なのかわからないけど会話の内容から察するにどうやらホラー映画が始まったようだ。
洋画を字幕で見ているらしく、聞こえてくるのは音声と英語ばかりでキリが壁からぺりっと剥がれた。
「もう飽きた~」
隣が物置で、反対側の隣は洗面所という遠慮の要らない環境だからかかなりのボリュームで映画を見ているので二人の会話はほとんど聞こえて来ない。
「いい子だから、あっちで遊んでな」
キリを追いやると、俺が用意した掃除機に目を付けたようで何やらゴソゴソやりだした。
ヒューンッ、ズポッ。
シュゴーッ。
「キリ、五月蝿い!!」
手近にあった布団を投げつけてやると、その中に籠ってもぞもぞしている。
ヒュオーンッ。
布団越しに伝わってくる音はさっきよりは大分静かでこれなら隣の様子も聞き取れる。
夜道か何かのシーンなのか、BGMがグッと控え目になったところで事態は動いた。
「何だよ、お前もその気でノコノコついて来たんだろ」
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