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再会
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二次会には行かなかったのだが、問題が発生したのだ。
それは、誰もがビックリしたこと。
「あ、僕も帰るわ」
「はぁ?」
俺も思わずそう言った。
この人は、何を言っているんだ。
皆、あなたを目当てに二次会に行くって言うのに。
「ちょっと今日は疲れたし。ほら、来週からサークルあるんでしょ?みんな来るならまた会えるじゃん」
女子の心舌打ちがここまで聞こえてきそうだよ。
そもそもこのサークルは、ただの飲みサーではない。文学が好きな人が、文学を語るためにあるサークルその名も『BUMGO』である。
俺も初めは、ふざけた名前だ、と思っていたけど、今日の新歓で確かに先輩たちはみんな本好きのようだった。
女子のうち半分は、荒木って人の噂を聞いてやってきたのだろう。
あわよくば、お持ち帰りされたいと思っていた人も少なくないはずだ。
そんなこんなで、皆を二次会の会場であるカラオケに送り出して、何故か、何故か、俺と荒木って人が二人で帰ることになった。
「君、駅に行く人?」
「あ、そうっす」
「じゃあ、一緒だね」
で、一緒に帰る流れの出来上がりである。
俺は、路線が違うことを望んだのだが、生憎、路線も方向も同じの、電車に乗ることになった。
「えーっと、今日の新歓どんなだった?」
無理して話しかけてこなくていいのに。
「楽しかった」
「そう。それは、良かった」
会話が続かなかった。
俺の中では、まだ、この人どっかで見たことあるんだよな、っていう感じが続いていてモヤモヤした。
カッコイイから、誰か俳優に似てるのだろうか……
だとしたら誰だ?
最近、テレビを見ないから、カッコイイ若い俳優がわからない。そしたら、必然的に、似てるから見たことある、という考えはなしになるのだが……
「永沢くんはさ、」
「はい……え」
なんで、この人は、俺の名前知ってるんだろう。
さっき、先輩の誰かが言ったのだろうか。
いや、言ってないし。
ナリヤとの会話も聞いてなかったはずだ。
俺の疑問に答えるように、困ったように笑ってこう言い放ったのだ。
「ユキは、本当に僕のこと覚えてないの?」
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