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山眠る ~プレ1
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春。県立港南高等学校入学式。
正門から続く桜並木はハラハラと花弁を落とし、新しい学生服の肩を彩った。
事務棟の裏手には、クラス分けの紙が貼り出してあり、新入生が我先にと集まっていた。
クラス分けの紙には、まず、中学校名が書かれていて、その下に合格した個人名と数字が書かれてあった。
──タサキユメ、タサキユメ。
学校名を知らない可児は、個人名を一人づつ潰していった。
大阪の中学校出身の可児が、自分の名前を探すのに時間がかからなかったので自分のクラスを確認すると、願書を提出したあの日から忘れずにいた名前を探し出した。
タサキユメ。
繰り返す名前。探すのに夢中になって、何人もの同級生とぶつかり合う。
田崎─ユメ。
他にタサキと読める名字は無かった。
田崎遊命──遊ぶ命。
書かれてあった数字は同じ。つまり同じクラスという冗談みたいな偶然。
可児は校舎へと足早に向かった。
1-Ⅳのプレートが掲げられた教室に入ると、黒板に升目と個人名が書かれてあり、教室に入ってくる同級生は、その黒板を見て各々席に着いていた。
可児も周りに従い席に着いたが、すぐに教室を出た。
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