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囚われの人【L総受け】
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だってこんなの、予想できるわけないじゃないか。
閉ざされた部屋で独り悪態を吐き捨てた。
部屋、というのは語弊があるかもしれない。広い木造の部屋の中、ぐるりと回りを鉄格子で囲まれた、その中に自分はいるのだから。
なんでこんなとこいにるのかなんて分からない。気がついたらこの中に転がされていた。
そりゃあ勿論、鉄格子をつかんで揺すってみた、どこか脆いとこがないか目を凝らしてみた、一か八か体当たりもしてみた。大声で叫んだときは、静かに消えていく自分の声に泣きそうにもなった。
もう、できることは試してみたし、泣くだけ泣いた。自分にこれ以上出来ることなんてない。
冷たい床に膝を抱えて座り込んで、頭を埋めた。ひんやりと体温を奪っていく床が、どこか嘲笑っているようで枯れ果てたはずの涙が再び込み上げる。
「どうして、なんで、こんなとこに……」
最後の記憶は自分の部屋と、青白いディスプレイの光。頭を襲った衝撃はまだ覚えている。
ぐずり、と鼻を鳴らせて膝に顔を埋めた。
「助けて……会いたいよ……」
会いたかった。誰よりも、誰よりも彼に、抱き締めてほしかった。
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