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さて……。
戻ってきたはいいものの、大佐は手持ち無沙汰だった。就寝の支度もすでに整え、ひと段落した読書の本にも栞をはさんだところだったのだ。いつもよりだいぶ早いが、今夜は休むことにしよう。
大佐は枕元にあるオレンジ色の灯りを落とした。
「やれやれ。そういえば家で別々に眠るのは初めてだな……」
手を伸ばしても冷たいばかりのシーツに寝そべると後悔せざるを得なかったが、いまさら嘆いたって仕方がない。
この先、2週間ほどの辛抱なのだ。
「長いな」
そう呟くと、まだ冴えている目をつむり、自分を包みこむように腕を組んだ。
*****
いっぽう――。
王子様は毛布の中でソワソワしていた。
「(どうしよう……)」
さっきまであれほど自信満々だったはずなのに、こうしていざ1人にされたとたん、一気に不安が押し寄せてきたのだ。
なぜだろう?
......実を言うと、王子様はウソをついていたのだ。
いや。半分は確かに本当のことだったから、大きな虚勢を張ったと言った方が正しいかもしれない。
とにかく、10歳の王子様がひとりで眠りについたことなど今まで一度もなかったのだ。
「(あんなこと言わなければよかった……僕のバカ……!)」
後悔しても、もう遅い。
このままさっさと朝になるのを待つしかない。
枕元の時計を見てみる。
10分しか経っていなかった。
「うう……」
暗い部屋の中に、ひとりぼっち。
両目に涙がにじんできた。
と、その時だった――。
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