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思わずパチパチと瞬きをした。
突然のことに、視界は涙で震えていた。
ギュっと目を閉じる。
「(……チュウ、しちゃった……!)」
唇にもたらされる口づけをはじめて知った少年は、しかしそれが分かったとたん、身体を固くして身構えてしまった。
ワインの香りがしたからだ――。
王子様は今よりもっと小さい頃、それを好んで飲んでいた火星の王様が目を離したスキにこっそりグラスを拝借したことがあった。
自分には禁じられた「酒」という飲み物に対する単純な興味に駆られたのだ。
しかし残念なことにグラスに口をつけようとした瞬間、そのあまりに芳醇な香りにやられて断念した。これはダメだと幼い身体が正しい判断を下したのだ。
それ以来、芳香だけで人を酔わせる危険なあの液体は王子様の中で「大人の世界のもの」として認識され、自分が触れていいものとは明確な線引きがなされた。
「んっ......ンふぅ......」
だから柔らかく啄んでくる大佐の唇を、この時王子様は許さなかった。
「ソウ......だめ......」
これ以上したら自分はどうなってしまうか分からない。
力の入らない左手が、必死に大佐の胸元を押していた。
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