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「そんなにギューッてしなくても僕はどこにもいかないよ」
きつく抱いたつもりはなかったが無意識に腕に力を込めていたのだろう。気がつけばネグリジェを鷲掴みにしていた。悪いとは思ったが、大佐はそれを緩めなかった。
その間、王子様は不自由そうに身体をくねらせていたが、だんだんと触れた部分が熱を持ってきたのか、ハアと切ないため息をつくと目尻にトロンとした潤いを見せはじめた。
無言の室内にお互いの心音がじんわりと重なってゆく。
少年の用意が整ったのを察知すると、大佐はおもむろにキスを開始した。
*****
「っ......んは、ぁ......」
痺れるような口づけに王子は早くも歓喜の声を上げてしまう。
もちろん今日だって大佐との時間を心の底から楽しみにしていた。
それなのに転んで出鼻をくじかれて、あげくの果てに女の子みたいな服まで着ることになってみっともないことこの上なく、今夜はもう黙って寝てしまいたい気持ちになったけど......。
この人といると不思議。
手招きをされた時から一気に幸せな気分になった。
それにしても......。
「っ......ソぅ」
なんだかこの人の様子がちょっとおかしい。
いつもだったら静かに啄んでくれる唇が今夜はすぐに熱いものを差し込んできたし、背中を撫でる指だって肌に食い込むほど情熱的だ。
蒼い瞳は優しいけれど、よく見れば水銀のような光沢がチラチラと瞬いていて、前にワインに酔って帰ってきた日の欲をはらんだ眼差しを彷彿とさせている。
王子様はそれが嬉しくてたまらないのだ。
大佐がその気になって自分を求めてくれている。
もしかして、この女の子のパジャマが効いたのかしら?
*****
少年の洗いたての髪の匂いが甘やかな予感を連れてくる。
小さな耳に唇をうずめながら、大佐はその香りを全身で享受していた。
すでに心も撃ち抜かれていたから大脳が発する必死の警鐘も聞こえない。
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