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【終章】13
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その言葉にようやく観念したのか、王子様は大人しくなるとコクンと喉を小さく鳴らして、彼にしては珍しく「はい」と応えた。
赤らめた頬が枕元に備え付けられた間接照明の光を受けて薄闇に浮かび、口元からのぞく白い前歯がチラチラと可愛らしく光っている。
その様子にいてもたってもいられない気持ちになると、大佐は王子の両の手首を捕まえた。
そのまま寝具に縫い付けるようにしっかりと唇を繋ぎ合わせると、欲望の赴くままに愛しい人の温もりを求めてジリジリと身体を擦りつけていった。
*****
最初の荒々しい勢いが一旦落ち着くと、大佐は王子様のうなじに手を当てながら「リオ」と噛みしめるように名前を呼んだ。
呼ばれた少年は、ゆっくりと濡れた睫毛を持ち上げると熱のこもった声で「ソウ……」と呟き、自由になった右手を頬に当て、恥ずかしそうに口端を上げてみせた。
自分はまたしても我を忘れていたのかと、そんな表情だった。
唇から、掌から、身体の重さから感じる今夜の大佐の熱量は夕べとは比べ物にならない。
ネグリジェではなかった。
彼は自分を求めているのだ。
「(好き……!)」
芯からそれを嬉しく思うと、王子は大佐の頬を小さな掌で包み込んだ。
地球の夜を映したような蒼い瞳に見つめられ、早くこの人のものになりたいと願った時にはすでに蝶に結ばれていたはずの腰帯が緩やかにほどかれていた。
*****
大佐は藍色の浴衣に、そっと左手を差し込んだ。
なめらかな質感を楽しみながら、掌全体に肩の丸みを包み込む。
浴衣をずらすと、代わりに白桃色の肌が現れ、手を下に進めるたびにその面積は大きくなった。
「ああ、いい匂いだ」
そこで大佐はため息まじりにそう言った。
先ほどからほのかに香っていたテーブル上のウェルカムフルーツ達がひとつひとつ目を覚まし、まるで呼吸をはじめたかのような、そんな薫香をリオは放っていたのだ。
大佐にとって、それはたまらないものだった。
当然のように、もっと欲しがる。
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