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いよいよだ――。
目の前にはチャーター機の丸い窓から、こちらに向かって手を振る君。ここは気持ちよく、笑顔で送り出してやらなければならない。
そう、ここまで来た時にはさすがの私も幾分か冷静さを取り戻していた。ベッドの上で騒ぎ立てた暴言も、今となっては寒々しい。
君が行くと決めたのだから、私にできるのはもう黙って見送ることだけだ。
約束する。今夜は火星を見上げるよ。
君の言う通り、離れていても同じ空の下。二人で同じ星を眺めていれば、きっと寂しさも和らぐはずだ。
毎日君のことを想っているから、頼むから無事に、そして叶うなら一刻も早く帰ってきてくれ。
しかし、しかし、ああ......待ってくれ、もう少しだけ......。
みるみるうちに小さくなっていく君の顔。
手を伸ばしても、もう届かない。
飛行機が飛びたったのだ――。
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