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幸せ
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ー3ヶ月前ー
「晴、送ってやるから学校行くよ?」
お兄ちゃんに見つからないようにと、部屋の隅で丸まっていたのに…
きっちりスーツを着て、ネクタイを閉め、
仕事に行く準備を整えたお兄ちゃんに簡単に見つかってしまった。
あんまりだだをこねてお兄ちゃんを遅刻させる訳にはいかないし、
渋々リビングに向かうと、ちょうどよく『チン』とパンが焼けた。
「お兄ちゃん、食べてから行くの?…ゲホっゲホ…」
「バカ。そんなことしてたら俺が遅刻するだろ?車の中で食べろ。な?」
ソファーでぼーっとしている僕を横目に、お兄ちゃんはテキパキと動き、
パンと仕事用の鞄。そして僕のボロボロのランドセルを持って、車に乗り込んだ。
ソファーから立とうと手に力を入れたとき、
「晴、早くしろー」
ってお兄ちゃんに言われて。
今行こうとしたのに…
「あぁ、やだな、学校っ…ゴホゴホ」
咳を手で押さえながら、お兄ちゃんの顔を覗いた。
今日、風邪気味かも。
学校、休めるかなぁ?
って。
「さっきあんな所で丸まってたからだろ?
掃除あんまりしてなかったからな…今日、帰ったらしとくな」
微かな期待を抱いたのに…
僕の心を読んだようなお兄ちゃんの一言で、簡単に打ち砕かれた。
お兄ちゃん…
優しいんだけど、
優しいんだけど、
学校休みたかったな…って。
「晴、行ってらっしゃい。俺はいつでも晴の味方、な?」
「うん…」
僕はお兄ちゃんに聞こえるように、わざと大きく溜め息をついてから、
ボロボロのランドセルを背負って学校に向かった。
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