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彼はテーブルに敷いていた白いテーブルクロスを引っ張るなり、意識を失っている青年を包んだ。
「春だとはいえ、夜はまだまだ冷えますからね。風邪など引かしたら…元もこうもありません…ふふっ」
この時期は大きな桜の木が色めく故、誰もが心を奪われてしまう。
彼もまた愛しい存在と一緒に心を桜に奪われた一人。昼の心地よい暖かさとは違い、夜は一層異なる温かさを感じるには丁度適している。
例えば、今宵のように…
一切の風すら邪魔しない静寂な夜は贅沢と言える。
人により『恵まれている』とも言うんだろうが、生憎、恵まれているという言葉は留守をしている主に失礼だ。
だから、この場合は贅沢であっている気がする。
「一夜の贅沢ですね…」
染々と独り言を吐いた彼は、青年を抱き上げ、大きく聳え立つ城の方へ足を向けて歩いて行った。
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