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漏洩 1
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「お前らぁ!今日はなんの日だ、言ってみろ!」
「「「節分の日ィイイイ!!!!」」」
今日も今日とて第二音楽室は騒がしい。
ヤンキーさん達が叫んだように、今日二月三日は節分の日である。
どうやら相沢くんが豆とお面を持参したらしく、今からみんなで豆撒きをするというのだ。
豆撒きなんて、小学校の行事ぶりだ!!
ジャンケンで負けたアフロさんに相沢くんはお面を付けた。
元の顔が殺人鬼並みに怖いから、鬼のお面をつけた方がちょっと可愛らしく見える。
アフロがいい感じに鬼のお面に重なっててなんだかおかしかった。
福のお面をつけるのは僕だ。ジャンケンで勝っちゃった。この前のゲームの時もそうだけど、僕ってジャンケン強いのかな?
「いいかテメェらァ!!!構え!!!」
「ウッス!!!!」
「せーのっ」
「鬼はァアア!!外ォオオオオ!!」
ヒィイイイッという悲鳴が聞こえて、鬼さんが全力で逃げて行く。
どうやら彼らの豆撒きというのは本気でやるものらしい。
容赦無く全力で投げられた豆は、もの凄いスピードで鬼さんへぶつかっていく。
「痛い痛い痛い痛い痛いィイイイ」
もはや、どちらが鬼なのかわからなくなっている。
逃げると言っても、範囲はこの音楽室のあるフロアだけ。圧倒的人数のせいで、すぐに鬼さんは取り囲まれてしまう。
こ、これは…福のお面を被ることになってしまった僕も、気付かれないうちに逃げた方がいいのでは…。
ソロリ、一歩引いたところで相沢君がこちらに気付いた。
「福は内しねーとなぁ!!」
「福はァアア!!内ィイイイイ!!」
ヒィイイイイイ
ギュっと目を瞑る。あんな剛速球投げられたら死んじゃう…!!
………あれ?
コロコロと豆が床を転がる音はするのに、いつまで経っても衝撃はやってこない。恐る恐る目を開いてみると、僕の足下にたくさんの豆が散らばっていた。
「……え?」
相沢君を筆頭に、強面ヤンキーさん達はまるで床に豆を添えているかのような力加減で、福は内をしている。
「あ、相沢君…?豆、もう少し強く投げた方が…」
「あぁ?福は内なんだぞ?!福さんは大事にしなきゃいけねぇんだぞ?!豆投げつけるなんてできるか!」
「………」
どうやら相沢君も正真正銘の馬鹿であるらしい。そしてそれに従って、同じ力加減で豆を添えている強面ヤンキーさんたちも…。
福はうちをしているうちに鬼さんは逃げることもできるのに、そこは律儀なのか、お面をしたまま待機している。
それから何回か、リンチ級鬼は外と、豆を添えるような福は内が交互に行われて、豆まきは終了となった。
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