アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
13.
-
急いでコートと鍵と財布とケータイをもって玄関に向かった、
その時……
ガチャッ
「お邪魔しまーす……」
「?! 八嶋くん?!ゆきはっ!」
「部長!
あ、えと、ゆきは完全に酔っ払っちゃったんすよ……
とりあえず鍵開けるためにそこに座らせてるっす…」
「ゆき!大丈夫かい?冷えてしまう、早く中に入ろう」
真っ赤な顔でふわふわとご機嫌そうに左右に揺れてしゃがみ込んでいるゆきを抱き抱えて中に入れる
「あぁ、八嶋くん、送ってくれてありがとう
取敢ず中に入っておくれ、暖かい飲み物でも出すよ」
「え、いんすか!ありがとうございますっすっすー!」
……ゆきが酷いだけで八嶋も酔っているな、
-----------
「ほら、ゆき、これに着替えて、
こら、歌わなくていいから、ちゃんと着て、あぁもう、いい、俺がやる」
ばんざーいとか言いながらご機嫌に服を脱ぎ散らかしていくゆきに順番に服を部屋着を着せてゆく
一通り着せ終わると取敢ず水を飲ませてソファーに座らせた
「ごめんね、八嶋くん、今八嶋くんの分の水も持ってくるよ」
「あぁ、すみません、でも部長がゆき着替えさせてる間にだいぶ冷めたっす……」
.
「そうみたいだね、…流石にあのすの多さには私もびっくりしたよ…」
水を持って八嶋くんの斜め、ゆきの隣に座るとゆきが勝手に膝枕をして眠り始めてしまった
「こらゆき、寝るならベッド行きなさい」
無駄だと分かっていたが一応声を掛ける
「…ほんと、ゆきは部長が好きなんすねぇ」
「え?」
「俺とゆきって、高校からの付き合いなんすよ」
「あぁ、そうみたいだね」
「そん時からまぁ人懐っこいやつではあったんすよ
でも、あいつの生い立ち、は俺からは言えないっすけどそれもあってここまで人に懐くことは無かったんすよ」
「え、でも八嶋くんはずっと仲良しなのだろう?」
そうでなかったらそこまで長く友人として付き合えないだろう
「うーん、そーゆー事じゃないんすよね、
俺はゆきと同じ位置に立ってるんすよ
でも部長は歳も離れてて立場も違うじゃないすか、
とにかくそういう自分と同じ立場の人間以外の人に懐いたことってあいつ1回も無いんすよ」
ふむ…
何となく言いたい事はわかった気がする
でも、
「"懐く"と言うのとは少し違う気がするよ」
「え?」
「私とゆきは歳も離れてるし性格も正反対、
本来なら混ざり合う事は無い存在だったんだと思う」
これは、ゆきにも話したことがない、最近見つけたばかりの俺の本心だ
「けれど何もかもが真逆過ぎて逆に全てがピタリとハマってしまったのだ
ぶつかり合うものが何も無い、綺麗に一つに繋がってしまった」
まるで歯車の様に…
だからなのだろう
今日、ピタリとハマった俺の半分が急になくなってしまった様に感じて有り得ない程の虚無間を覚えたのは、
これまでに感じたことのない程、ゆきが自分の一部となってしまっていることを実感した
そして、そんなゆきを何よりも大切に思っている事も
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
13 / 19