アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
05
-
俺はひたすら走って、走って、亮のところへ向かった。
亮に謝らなきゃ、気持ち伝えなきゃ……
今度こそ、言える気がした。
──────
亮の家の前まで着いたところで、その驚きの光景に足が止まった。
ドアの前に、亮と、朝香さん。
俺はさっと陰に隠れて身を隠し、2人を見ていた。
あ……そっか、朝香さん……泊まった……のか……
「ねぇ、りょーちゃん」
しかし驚くべきはこの後だった。
「キスして」
朝香さんが少し背伸びをした。
次の瞬間、亮の手が朝香さんの腰にまわり、2人の顔が近づいた。
────え……
カタン──
あまりの光景に呆然とし、手に持っていたスマホを落としてしまった。
「クラゲ……?」
スマホの落ちた音で、こちらに気づいた亮が、目を丸くして俺を見つめた。
「クラゲ!」
亮が俺の元に駆け寄ってくる。
来るなよ……なんで……なんで来るんだよ……
胸が苦しくて苦しくて、涙が出そうになった。
逃げよう、そう思って背を向ければぐっと腕を掴まれた。
「クラゲ……その、今のは……」
いいよ。聞きたくないよ。
腕を振りほどこうとしても俺の力じゃやっぱり振り解けない。
「クラゲ、一度話がしたい」
やだ。やだ。
涙が溢れてきて零れる寸前で、亮にぐっと体を向けられた。
亮と目が合って溜めていた涙がぼろぼろと零れた。
「クラゲ……」
掴まれた腕が熱い。見つめあった瞳の奥が、熱い。
亮のこの手は、朝香さんに触れた手。
その瞳も、朝香さんを写した目。
「はな…して……」
搾り取るような声でそう言えば、亮は少し躊躇った後、ゆっくり手を離した。
俺は走り出し、その場から去った。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
79 / 224