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***
「ただいま、紫音。」
ドアが開いた音で目が覚めた。
どうやらもう23時を回っているようだ。
「遅くなって悪かった。飯、いるか?」
海堂さんの手元を見ると、オードブルを買って来たようで、どうやらそれをつまみにワインを飲むらしい。
「金持ちってワインセラーあるんだな。」
「いや?ただの趣味で作ってもらっただけだよ。」
海堂さんはワインセラーから年代物の高そうなワインを取り出した。
「食べなくてもいいから、こっちにおいで。」
少し穏やかな海堂さんに絆されて、近づこうとすると、
ガシャン……
そこまで鎖が伸びずに後ろへ引っ張られた。
「あぁ、悪い。今外すから少し待て。」
海堂さんが鎖を外し、俺が席に着いたところで、少し遅めの晩御飯が始まった。
***
「これ、美味い。」
「酒が進むだろう?」
「普通に飲ませてるけど、俺未成年だからな。」
「ハハ。大学生なんて、付き合いでも飲むだろう?」
「優としか飲まねぇよ…」
チビチビと酒を飲み進めながらオードブルを食べ進める。
「おまえ、大学に行けないこと、文句言わないんだね。」
「だって……」
昨日、佐倉が言った言葉が少し嬉しかった。
『誠さんが探してる』
なぜかその言葉が嬉しくて、
連れ帰られた時の海堂さんの少し悲しそうな表情が、
『心配した』
そう思わせてくれて、
なんだか嬉しかった。
「しばらくいい子にできたら、鎖も外してやるから。」
「うるせ。大学の費用もったいねーじゃん」
「それくらいこれから出してやるから。留年しても問題ない。」
反発する俺に、少し嬉しそうな表情をする海堂さんは、
何を考えてるのはよくわかんないけど、悪い気はしなかった。
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