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別れるまでの数ヶ月の間、会う度に喧嘩をして、中途半端な仲直りを繰り返していた。
お互いに仕事が忙しくなりすれ違いの日々が続き、そして不安定な関係は一気に崩れた。
それを何とかしたかった僕と、もう良いと背中を向けた彼。
当然、別れるしかなかった。
仕事をして泣いて、また仕事をして泣いて。そんな事を繰り返して行く内に、少しずつ彼がいない事が日常になっていった。
淡々とした毎日を過ごしているだけだ。
心にまだ彼への想いを残したまま。
「今日、人が多くないですか…?」
「馬鹿、今日はクリスマスだろうが」
呆れた様に溜め息を吐く僕と同じ独り身の先輩に、そうでしたねと頷く。
十二月になる頃にはあちこちがクリスマス一色になったから、いつがクリスマスかなんてもうよく分からない。
今日が二十五日だという認識はあっても、僕にはもう何年も意味の無いイベントだから頭の中からクリスマスというものが消えてしまっていた。
「皆、楽しそうですね」
当たり前だろう、そう言って鋭い視線を周囲に向けた後、先輩は悲しげに彼女が欲しいと呟いた。
いつもより何倍も騒がしい街を、僕達はただ黙って歩き続けた。
会社に戻ると、割と理解のある上司が今日はなるべく早く帰ってと皆に促していた。
上司は勿論、家族や恋人がいる人達は定時に上がりたいと必死に仕事をこなしている。
「おい、今日は飲みに行くぞ」
「…余計、辛くなりませんか?」
良いから行くぞ、と涙目の先輩に軽く頭を叩かれ苦笑する。
結局、先輩の声が聞こえた他の独り身の同僚達も俺も俺もと集まり、数人で飲みに行く事になった。
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