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「ごめん…、翔」
今にも消えそうな雄哉の声。
ここでハーブティーに睡眠薬が入っていたことに、俺はようやく気づいた。
「…雄哉…、」
「なに、翔…?ごめん…本当にごめん」
雄哉が謝らなくていい。
ハーブティーに睡眠薬を入れたのも俺のため、ってちゃんと知っているから。
だってこのままじゃ電車は乗せられない。
自分でもちゃんとわかっているから。
きっと睡眠薬で眠った俺を車に乗せて、今度目を開くのは雄哉の部屋のベッドの上。
俺、本当に雄哉に迷惑かけてばかりだ…。
でも、雄哉、俺…、
「一人はいやだ…」
雄哉の目が見開く。
どうしてこんなことを言ってしまったのだろう…。
こんなことを言える立場じゃないのに…。
俺、雄哉に何をお返しできているのだろう…。
「翔…、俺が…、」
雄哉の言葉が聞きたいのに、
この眠気に勝てそうにない。
そのまま俺は意識を手放した。
雄哉の言葉を聞かぬままに。
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