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せつなれいにーside旭秀治
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やっとこのシチュエーションにも慣れてきた僕は、盗み見るようで悪かったけれど、吉岡君のほうをじっと見ていた。
横顔が綺麗だ。こんなに近くでまじまじ見る機会なんてなかったので調子に乗って観察してしまう。金色の髪の毛は柔らかそうで思わず伸びた手を必死に抑え込む。
たっぷり眺めていると細かいところまで視界に入ってくるわけで。見えづらかったけれど吉岡君の右肩が傘の範囲に入りきってなかった。
「でっでも………僕なんかより吉岡君のほうが濡れちゃだめだよ………吉岡君の傘だし」
もともと僕が無理やりお世話になっている身なのだ。被害をくらうなら僕に決まっているのに。むくむくと上昇してくる罪悪感が身にしみる。体を小さくした僕と、吉岡君はやっとまじめに向き合ってくれた。
「何言ってんだよ。俺なんかより旭が濡れちゃだめに決まってんだろうが」
「でも」
「でもはなし。いいから大人しくおくられてろよ」
当然のようにそう話を強制的に断ち切った吉岡君をじーっと見つめる。頬が若干赤くなっている。
吉岡君、かっこいいな。今気づけたけれど吉岡君が車道側だし。さり気なく僕を気遣ってくれている。なんてやさしいんだろう。不良だなんて噂されているけれど、こんな繊細な不良なんて見たことがないよ。
僕にしてみたら申し訳ないけれど、やっぱり気を使ってくれるのは嬉しい。それだけ大切に思われているような錯覚を覚える。そうだったらいいな。なんて思ったことに羞恥心を感じて照れ隠しで空を見上げた。
「あっ吉岡君。晴れてきたよ」
その際に曇り空から除く日光を発見して声をあげる。歩く足を休め、彼も同じように空を仰いだ。
「本当だな。なんだったんだあの嵐は………」
「まあまあ晴れたからいいんじゃないかな。結果オーライってやつだね」
「まあな。虹でねえかなぁ」
残念ながらその前に僕の家に着いちゃいそうだ。
今度は一緒に虹が見れればいいね。
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