アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
嫉妬(6/7)
-
「……兄貴」
「…!」
扉越しに声をかけられ、驚いてビクッとしてしまった。立ち上がって部屋から出る。
「どうしたんですか?」
「あの…兄貴を呼んでこいと言うガキ共がいて…」
「え……?」
確認するために入口のほうへ歩いていく。
あぁ、何故だろう?嫌な予感しかしない。
「…………まじかよ」
ちらっと影から盗み見た先に、見慣れた奴らが立っている。
昴、凪、泣きそうな顔をしている長沢。
それに生徒会のメンバー。
「兄貴の知り合いですか?」
「知り合いつーか…友人というか」
「兄貴のご友人すか!? 友達できたんですね!おめでとうございあすっ!」
「おい、さらっと傷つくようなことを言うな」
と言うと顔を真っ青にして謝られる。
や、別にそう言うつもりで言ったんじゃないんだけどな。
「とりあえず、あの人達を右奥の部屋に…」
「了解っす」
……何でここに来たんだ?つか何でここを知っている?
いずれにしても千尋さんにバレる前に片をつけないと。
深呼吸をしてみんなのいる部屋へ向かう。
……ドアを開けると、右のソファーに長沢と昴と凪が、左のソファーに生徒会メンバーが座っていた。
その後ろに構成員達が並んで立っている。
……それぞれの反応をいくつかに分けられそうだ。
一つは、緊張で肩が上がり顔がこわばってるパターン(昴、副会長)。
二つ目、今にも泣きそうなパターン(長沢)。
三つ目、少し落ちつきがなく、顔をしかめてるパターン(凪、会長)。
四つ目、いつもと変わりないパターン(真知先輩、優先輩)。
皆が俺の存在に気がついて顔をあげる。それと同時に、俺は口を開いた。
「…──っに来てんだよお前ら!!」
ビリビリと空気を震わすような音量で叫ぶと、数人がビクッとする。
…その数人が構成員だったんだけどさ。
普段は俺、全然叫んで怒ることないからかなりびっくりしてらっしゃる。
とりあえず笑ってごまかす。
「あ、あは…」
「ふ…ふぇ…」
……!
下っ端は青い顔をしたままだが、なんと長沢が泣き出した。
ど、どどどうしよう…!
「な、長沢、どうした」
「ごめん…なさい…っ…。大崎が…そんなに怒るほど嫌だったって…気がつけなくて…ごめん…」
「え、えっと、そんなに俺、怒ってないから。だから泣くな。な?」
俺が怒る前に、長沢は下っ端達のことを怖がってた。……よし、
「すみません。笑ってくれませんか?」
「こうっすか、兄貴!」
「どうっすか、俺の笑顔!」
「あー…えっと、訂正して、やっぱ普通の顔をしていてください」
やっぱり逆に笑顔が怖いよ、あんたら。
向き直って、急な訪問者達に質問攻めしようとすると、入口の方から別の声がした。
「おいおい…ヒロんとこ、いつからガキ共の溜まり場になったんだ?」
振り向くと、入口に見慣れた赤髪の人が立っている。
「宮城……何でここに来てんだよ!」
「呼び捨て!? お前会う度生意気になってんな、真琴!」
「あんたが来るとろくなことがない!帰れ」
「おま…っ!」
「誰かこの人追い出してください」
「待て、きちんとヒロと約束してんだ!」
ほんとかな。いつもアポなしで来るくせに。
旦那を呼びに行こうとして部屋を出ると、何かにぶつかった。
「…手ぇ貸すとは言ってねぇがな、宮城」
「ち…千尋さん…」
顔をあげると、千尋さんがタバコを吸って立っている。どうやら旦那のたくましい胸にぶつかってしまったらしい。
千尋さんは視線を宮城から移し、場違いな学生達をじっと見つめた。
「…誰だ」
「お、俺の…友達で…」
「何でこんなとこに連れてきた?」
「……すみません」
俺だって何であいつらがここに来たのかわからねぇよ。
ピリピリした空気の中、物怖じせずに発言する人がいた。…真知先輩だ。
「ねぇ、ヒロさんが真琴くんのファーストキスの相手?」
「……!?」
何聞いてんだよ、真知先輩!
一番触れちゃいけねぇことを…!
ビクビクしながら旦那を見上げる。
千尋さんは真知先輩の方を見て目を細めると、ひと言口にした。
「…それがどうした」
「…っ!?」
旦那のひと言で動揺の波紋が広がったが、中でも俺が一番びっくりしていた。
千尋さん…あのときのこと覚えていたのか…?
知らないふり、してたのか…。
自分がバカをやらかした事故チューのことを鮮明に思いだしてしまい、頬がぶわっと熱くなる。思わず、唇に手をやった。
「あ?お前ら、もうそんな関係だったのか?」
「──違う!ただの事故で俺が…!つか、変なこと言うなバカ」
宮城の発言を聞いて、慌てて否定をする。
それに、"もう"って何だよ。そんな関係になるはずねぇだろ。
宮城はふーんと唸ると、旦那のほうをちらっと見る。その後、昴達のほうを見た。
「……にしても、真琴の友人達は顔がいい奴ばっかだな。誰かに掘られたりしたか?」
「あるわけないだろ。バカ宮城」
「お、掘るの意味が分かるようになったのか。
ついこの間まで無知な可愛い真琴だったのにな。なぁ、ヒロ?」
「……」
旦那は無言でタバコの煙をはく。…少し機嫌が悪そうだ。
「真琴はどいつを彼氏にしたい?」
「…しつこい。うるさい」
「あいつとかいいな、あのエロい奴。俺の好みだ」
宮城が指をさした人は、真知先輩だった。
指をさされた真知先輩はそれを聞いて微笑する。
「奇遇だね。僕もあなたみたいなでかい態度をとる人を抱くのは好きだよ。喉がかれるくらい啼かせたいねぇ」
真知先輩が流し目で宮城のほうを見る。すると宮城が「怖…」と呟いた。
うん。真知先輩を抱こうとすること自体、非常に愚かだと思うよ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
58 / 63