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ep17
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「なぁ知ってるか?」
俺の前で、田原は語り始めた。
「藤吉の奴、お前が思ってるより酷薄なんだよ」
田原の言葉にピクリと体が揺れ動く。
首を横に振り、口からは自然と否定の言葉が出た。
「違う...!藤吉君は優しくて...こんな僕でも見捨てない人なんだ...」
「お前は外ヅラ取り繕ってイイコちゃん演じてる藤吉しか知らねぇから信用できんだろ?」
何が楽しいのか田原は首を傾げていやらしい笑みを浮かべながら顔を覗きこんできた。
「あいつな、つるんでた仲間も平気で裏切って笑ってるような奴だよ。...だからいつも一人だろ?」
「それは...そんなの、藤吉君の口から聞くまで...信じない...」
「意外と強情だなァ」
前髪を掴まれ無理矢理顔を上げさせられた。
痛みに呻く。
僅かに顔を歪ませた俺のその様子に田原は「ははは」と乾いた笑い声を零して前髪を掴む力をさらに強める。
「中学三年の時だっけかなぁ...藤吉の奴、自分のダチと他の不良を意図的に喧嘩させてあいつは高みの見物...とかよくあったんだぜ?」
「そんなの...!!......ッ!?」
否定しようと口を開いた途端頬を思い切り殴られた。
衝撃でぶっ飛んで腰を勢いよく床にぶつけた。
「いッ...あ、う...」
痛みで引きつった声が出る。
殴られて熱く感じる頬を抑える。
「テメェ藤吉が味方になったからって調子乗って口答えしやがって...」
「うぜぇから予定通り皆でボコるか?」
一人の不良の提案で他の奴らがぞろぞろと俺を囲む。
いきなり鋭い蹴りが腹に入った。
「あ?...おい、もう気絶しそうじゃねコイツ?」
「やめろよなー気絶したらツマンねぇじゃん」
不良達の話し声が遠くなっていく。
腹に激しい痛みを感じながら重くなる瞼に耐えきれず目を瞑った。
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