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ep30
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藤吉君について行って購買でパンとお茶を買ってから屋上に向かった。
「多田」
先に座った藤吉君がポンポンと自分のとなりを叩いて言ったのでそこに座る。
晴れてて暖かい風が吹いてる。
この前までこの屋上から飛び降りて死のうとしてたのに今ではこんなに心安らぐ場所になるなんて思わなかったな...。
袋からパンを取り出しながら藤吉君を見る。
「あれ...藤吉君それだけ...?」
「ん」
いちご牛乳。
藤吉君の袋の中にはそれしか入ってなかった。
「た、足りるの...?」
「お腹すいてない」
いちご牛乳にストローを刺しながら藤吉君が言った。
いくら藤吉君が少食でも決して小さいとは言えない男子高生がそれだけで満腹になるわけがない。
「藤吉君よかったら俺のパン食べる...?」
「いや、いらない」
ちゅーちゅーといちご牛乳を吸ってる藤吉君は可愛いけど心配だ...。
「なぁ、多田はさ〜」
ストローを噛みながら藤吉君は俺を見る。
「彼女とか欲しくない?」
「え?だって、それは...藤吉君がいるから...」
突然の質問に言葉が詰まる。
欲しくないと言えば嘘になるからだ。
でも藤吉君がいるのに欲しいなんてありえない。
「もし女に告白されたら?」
藤吉君は優しくて強くて綺麗で可愛くてかっこよくていい匂いがして...完璧なんだ。
そんな人が俺の恋人でいてくれてるのに...。
「断るに決まってる」
当たり前だ。
『所詮お前はアイツの暇潰しの玩具だって事だな』
急に田原に言われた言葉が蘇る。
玩具。
それでも構わない。
藤吉君に救われたのは何を言われても事実だ。
「そっか」
俺の答えに藤吉君は満足げな表情になった。
「藤吉君、はい」
半分に割ったパンを差し出すと藤吉君は首を傾げてからガブッと噛み付いた。
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